インドネシア、ミスコン選考でファイナリストにヌードを強要 世界最多のイスラム教徒の国で大炎上
イスラム教は女性の肌露出に敏感
インドネシアは世界第四位の人口約2億6000万人のうち約88%がイスラム教徒という世界最多のイスラム人口を擁する国で、敬虔な女性信者は頭部をヒジャブという布で覆うほか、タンクトップやホットパンツなど肌を極端に露出することは禁忌とされている。
公共の場の海岸やプールでもイスラム教徒の女性の多くはTシャツやラッシュガードなどを着て泳ぐなど、肌を他人に見せることを嫌っているのが実情だ。
インドネシアでは通常のミスコンテストについても「女性を商品化している」「イスラム教の教義にそぐわない」などとして反対論が渦巻くことが多い。特に水着審査に対しては厳しい姿勢が注がれていた。
そうした国民性、宗教感情の中で今回のミスコンでのヌード強要に関しては、コンテスト主催者、審査員による「興味本位のエゴ」とみなされ、国民感情を逆なでして非難を浴びているのだ。
警察は本格的捜査に乗り出す構えをみせており、今後関係書類や写真などの証拠品の提出を主宰者側や審査員に求めていく方針という。
インドネシアは男性優位のイスラム教徒社会であるといわれるが、近年は女性の地位や尊厳に対する社会の理解も深まっており、今後の警察の捜査の行方を国民は固唾を飲んで見守っている。
[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など