タイ国会、首相選出を3度目の延期「第一党ピター党首の資格審査結果待ち」
第二党が新たな連合で首相候補擁立へ
こうした国会の混乱を回避するために前進党と野党連合を組んでいた中から総選挙で第二党になった「タイ貢献党」が中心となって新たな連合を組み、タイ貢献党から元企業経営者のセター氏を首相候補とすることで他の野党そして上院の支持を得ようと根回しを始めた。
8月1日にタイ貢献党関係者は新たな野党連合には前進党が参加しない方向で「前進党外し」の工作が進んでいると明かしていたという。タイ貢献党が中心となって進むこの新たな連合の枠組みには他の野党に加えてプラユット政権の与党でもあった「タイ威信党」「国民国家の力党」「民主党」「チャートタイパタナ党」など5党を加えた10党連合となる見込みで、単純計算では下院議員票は302票となる、これに上院から約80票が加われば上下院の過半数750票を上回ることになる。
タイ貢献党の首相候補とされるセター氏はこうした多数派工作を意識して「私がタイ貢献党から首相候補に正式に推されたら、刑法122の改正には手を付けない。わが党は新政権を一日も早く誕生させてタイを前へ進めたいと考えている」と述べて不敬罪の見直しなど王室改革を行わないとの姿勢を明確にした。
これによってタイ貢献党としては親軍派や保守派の支持を得て新首相選出をスムーズに進めたいとの意向だ。
タクシン元首相のタイ帰国情報も
こうしたなか、インラック首相の兄で元首相のタクシン・チナワット氏が8月中にもタイに帰国するのではないかとの情報が流れている。
タクシン元首相は首相在任中(2001〜2006年)の汚職容疑での裁判中、許可を得て中国を訪問したがその後帰国せず、2008年以来海外で逃亡生活を続けている。
裁判はタクシン被告不在で有罪判決を下しており、タクシン元首相は帰国すれば禁固10年で服役する可能性があるともいう。
ただタクシン元首相支持のタイ貢献党が次期政権の主導権を握った場合には特例として恩赦されるとの見方もあり、タクシン元首相の帰国情報もそうした状況を背景に流布されているとの見方が有力だ。
タイ政治は首相選出ができないまま、各政党の合従連衡が水面下で進み、タクシン元首相の帰国もにらんで混乱の極を迎えている。国民の国会に対する不満も爆発寸前で、新たな治安問題になる懸念も高まっている。
[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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