最新記事
アメリカ

南北戦争以来の分断...アメリカの二極化、背景にある「3つの原因」と「日本への影響」

DARKENING AMERICA

2023年7月14日(金)14時30分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

来年の大統領選でバイデンが再選され、議会でも民主党が勝利すれば、社会的包摂や穏健な政治、ルールに基づく国際主義を求める路線が続く。一方、暴動や戦争、災害などで大混乱が起きたり、現在80歳のバイデンが倒れたり、有権者が現職を罰したいと考えれば、怒れる白人ナショナリストと保守的な共和党が勝利する可能性がある。そうなれば人種や階級間の対立に再び焦点が当たり、少数派になった白人の白人至上主義が温存され、孤立主義が繰り返される。

長期的には、アメリカの民主主義はこうした試練を乗り越える可能性が高い。人口の多様化が進み、反民主的な白人層を圧倒するためだ。だが白人の地位低下への怒りと抵抗が強まってきた60年間を経て、アメリカの社会的結束と政治制度は消えない傷を負ってしまった。

日本への影響

アメリカには「中国に厳しい態度で臨む」とのコンセンサスがある。大統領選で共和党の指名獲得を狙うニッキー・ヘイリーは中国との「正常な貿易関係を終わらせる」と語り、軍事面ではトランプより強硬な姿勢で臨むとしている。

一方、民主党は「対決でよりも競争」路線を模索。貿易や環境での合意を目指しつつ、アジアでの軍事的プレゼンスと同盟関係の強化を続ける。日本は今後も軍事予算の増額やアジア安全保障への関与、自衛以上の活動を要求されるだろう。また両党とも重要な技術やサプライチェーンの保護をめぐり日米の戦略的合意を望む可能性が高い。

20241203issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トタルエナジーズがアダニとの事業停止、「米捜査知ら

ワールド

ロシア、ウクライナ停戦で次期米政権に期待か ウォル

ビジネス

英インフレ上振れ懸念、利下げ段階的に=ロンバルデリ

ワールド

ルーマニア大統領選、12月に決選投票 反NATO派
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中