南北戦争以来の分断...アメリカの二極化、背景にある「3つの原因」と「日本への影響」
DARKENING AMERICA
■政治的再編
多様性が増すにつれ、逆説的だが二大政党が社会の細分化を映し出す存在になった。64年の公民権法成立と時を同じくして、民主党はリベラル・都市部・高学歴・民族的多様性、共和党は保守的・農村部・低学歴・白人などの特徴を持つ政党に変化していった。
今ではいずれの党でも穏健派は姿を消し、両党のイデオロギー的な重複はなくなった。特に95年以降、共和党が民主党の政策にことごとく反対し、政府機能の縮小に躍起になった結果、政治はゼロサムゲームと化した。率直に言えば、共和党は白人ナショナリストの主張を受け入れたのだ。両極化によって政治は機能不全に陥った。
反民主的な白人層は先細り
アメリカは「国家の魂を懸けた戦い」の渦中にあるというジョー・バイデン大統領の言葉は正しい。トランプには財務不正や大統領選の妨害、連邦議会議事堂襲撃の扇動など多くの容疑がかけられているが、国民の4割は今も彼を支持している。僅差ながら下院で多数を占める共和党は非白人への選挙権の制限、国際問題への関与の縮小、医療や教育分野への政府支出の削減を提唱。さらに「裏切り者」の民主党支持者への「復讐」を誓うトランプを熱烈に支持している。
今や米政治の短期的な未来や社会的結束、さらには民主主義さえも不確実な状態だ。選挙制度が構造的に共和党に有利な上、同党はゲリマンダー(特定政党に有利な選挙区割り)と法改正によりその優位を拡大させようとしている。進歩的で多様な層がその差を覆して多数派となるには、約54%の得票が必要となる。