最新記事
ウクライナ情勢

バフムト陥落は嘘、我々はバフムトから退くワグネルを追撃している──ウクライナ軍

Ukrainian forces fire on retreating Wagner troops leaving Bakhmut

2023年6月1日(木)14時31分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ワグネル創設者のプリゴジン(左)と戦闘員(5月25日、バフムト)  Press service of "Concord"/REUTERS

<ワグネルはバフムトを制圧した後、ロシア正規軍と交替するため撤収する、とプリゴジンは言った。実態は?>

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」は5月20日、ウクライナ東部の激戦地バフムトを制圧したと宣言。その後ワグネルの戦闘員は同地域からの撤収を進めているが、ウクライナ軍の報道官はバフムト陥落を否定し、ウクライナ軍はバフムトでワグネル戦闘員の追撃を続けていると主張した。

【動画】ロシア戦車がうっかり味方数人を轢く衝撃映像

ウクライナ軍のセルヒイ・チェレバティ報道官は、東部の要衝バフムトでの衝突は「大幅に減った」としつつも、ワグネルが撤収を開始して以降、ウクライナ軍の攻撃によりワグネルの戦闘員80人が死亡し、さらに119人が負傷したと述べた。

ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンは5月25日に公開した動画で、ワグネルの戦闘員らがバフムトからの撤収を開始したと発表。6月1日までに撤退を完了し、ロシア正規軍に陣地を引き継ぐためだという。

ワグネルの戦闘員は、2022年夏からバフムトで激しい戦闘に携わってきた。撤収に先立ち、プリゴジンはインターネット上に公開した複数の動画の中で、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とバレリー・ゲラシモフ参謀総長を批判。彼らがワグネルの戦闘員から意図的に弾薬を取り上げていると非難していた。

「敵は後退を続けている」

プリゴジンはまた、5月23日に公開された親ロシア派軍事ブロガーのコンスタンティン・ドルゴフとのインタビューの中で、バフムトで大勢の戦闘員を失ったと主張。「(バフムトでの)作戦開始以降、5万人の受刑者を戦闘員として投入したが、その約20%が死亡した。通常の戦闘員についてもまったく同じだ」と述べた。

アメリカ政府は2月に、ロシアがウクライナへの本格侵攻を開始して以降、ワグネルの戦闘員3万人以上が死傷したという推計を明らかにしていた。

ウクライナの国営通信「ウクルインフォルム」によれば、チェレバティは「ここ数日は衝突が大幅に減っており、今日は1件もなかった。敵は後退を続けており、撤収するワグネルの戦闘員の代わりにロシア軍の空挺部隊や歩兵旅団が陣地を引き継いでいる」と説明。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中