新鋭艦建造も技術開発もままならず... 専門家が想定するロシア潜水艦隊のこれから【注目ニュースを動画で解説】
Newsweek Japan-YouTube
<冷戦終了後もアメリカに次ぐ水準を持つと言われながら、経済制裁で新鋭艦建造も技術開発もままならないロシアの潜水艦の現状、そして未来について考察したアニメーション動画の内容を一部紹介する>
ロシアの潜水艦は今なお世界のトップクラスと言われているが、ウクライナ戦争においては出番が少ない。しかし、この戦争の影響はある意味でロシア海軍にも及んでいるか、少なくとも及ぼうとしている。
ロシアの潜水艦隊はこれからどうなるのか。専門家が想定する2つのシナリオとは──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「世界最強クラス」ロシア潜水艦隊の暗い将来、専門家が想定する2つのシナリオ【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
2009年に当時のロシア大統領ドミトリー・メドベージェフは、「まっとうな海軍なしには、ロシアに国家としての未来はない」と力説したが、ロシアの水上艦隊はその期待に応えていない。
一方で、潜水艦は今も世界のトップクラスと言われている。
しかし、今のロシアにとってはウクライナ戦争に勝つことが最優先。出番の少ない潜水艦の性能向上は後回しにされかねない。
NPO・核脅威イニシアチブによれば、ロシアが保有する潜水艦は通常動力(ディーゼル機関)と原子力を合わせて推定58隻とされている。ロシアの潜水艦の中でも、ヤーセン型とその改良版であるヤーセンM型の巡航ミサイル搭載原子力潜水艦(SSGN)は「今日のロシア海軍の至宝」だと米シンクタンク・ランド研究所のエドワード・ガイストは言う。
ロシア海軍は旧ソ連海軍時代から「水中」を強みとしていた。
ただし、理論上は優れていても、「ソ連時代の潜水艦がよく整備されていて今も機能するかは保証の限りではない」とハーグ戦略研究所(HCSS)のアナリスト、フレデリック・マーテンズは指摘。イギリスに本部を置く国際戦略研究所(IISS)のニック・チャイルズ上級研究員も「(ロシアの潜水艦の性能は)実戦で十分に検証されたことがない」という。
対ウクライナ作戦においてもロシア海軍の役割は非常に限定的で、核搭載可能な潜水艦部隊が直接的な役割を果たしたことはない。
西側諸国はロシアの戦争遂行能力を損なわせるべく制裁を科している。ロシアの潜水艦がどこまで外国の技術に依存しているか検証することは難しいものの、開発の少なくとも一部には国外の技術が必要になると、アメリカ海軍分析センターのドミトリー・ゴレンブルグは言う。
ロシアの潜水艦隊の将来について、専門家は2つのシナリオを想定している。
ロシア軍全体の資源に制約が生じた場合には、最も損害が大きい部隊(地上軍など)の再建が優先される可能性が高いとゴレンブルグはみる。すなわち、将来の潜水艦の建造が制限される、という展開が1つ。2つ目は、チャイルズが示唆する「相対的な重要性を考えて潜水艦にもっと投資を回す」というシナリオだ。
■詳しくは動画をご覧ください。
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