最新記事
ウクライナ情勢

ワグネルは今週、酷い目に遭う――米軍元司令官

Wagner Founder Faces 'Disaster' in Ukraine Next Week, Ret. General Predicts

2023年5月22日(月)13時26分
アンドリュー・スタントン

バフムトの廃墟の上でロシア国旗を振るワグネル戦闘員(5月20日公開の動画より) Press service of "Concord"/REUTERS

<バフムトを「完全制圧」と主張したばかりだが、まもなくウクライナ軍に包囲される?>

ロシアの民間軍事組織ワグネルは来週、ウクライナで「悲惨な状況」に直面するだろう――アメリカ欧州・アフリカ陸軍のマーク・ハートリング元司令官が21日、そんな見方を示した。東部の激戦地、バフムトがウクライナ側に包囲されているからだという。

【動画】広島で各国首脳に歓迎を受けるゼレンスキー

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年2月、「特別軍事作戦」の名の下にウクライナ侵攻を開始。短期間で勝利を収めるはずが兵士たちの士気の低さなどさまざまな問題に見舞われ、開戦後1年以上経っても戦いは続いている。中でも激しい戦闘が続いているのはウクライナ東部のドネツク州バフムトだ。

ワグネルは実業家のエフゲニー・プリゴジンが創設した。戦闘員の多くは元受刑者だ。バフムトでロシア軍とともに戦ってきたワグネルは、かつてはロシアの勝利の鍵を握ると見られていた。

バフムトを巡る戦況は数カ月間、膠着状態が続いていたが、ここを落とせばプーチンにとっては象徴的な勝利となるはずだった。だが激しい戦いの結果、どちらの勝利とも言いにくい状況になっている。

バフムート攻防戦はまだ終わらない

プリゴジンは20日、メッセージアプリのテレグラムに、ワグネルがバフムトを完全制圧したと投稿し、ロシア側の勝利を主張した。だがウクライナはこれを否定。激しい戦闘はまだ続いており、今後の形勢のカギを握っているのは自分たちだと主張した。

ウクライナ陸軍のオレクサンドル・シルスキー司令官は21日、ウクライナ軍は近くバフムトの「戦術的包囲」を行うと述べた。本誌はウクライナとワグネルのどちらの主張についても真偽を確認できていない。

ハートリングはウクライナの発表を受け、21日にプリゴジンに警告するこんなツイートを投稿した。

「われわれが何度も言ってきたように、プリゴジンもワグネル戦闘員もプロの兵士ではない」「エフゲニー、おめでとう。バフムトの中心に旗を立てたんだね。だが、その君たちは包囲されている」

また、ワグネルはここまで5カ月も酷い目に遭わされてきたが、また来週も酷い目に遭うだろうと述べた。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中