極右と極左の呉越同舟──多すぎて複雑な「反プーチン派」の正体について
Homegrown Rebels
ロシアの情報機関・連邦保安局(FSB)のアレクサンドル・ボルトニコフ長官は4月、一連の攻撃に言及。反体制派組織について「ウクライナの特殊部隊と西側諸国の協力者が、ロシア市民の洗脳や兵士としての採用に乗り出している」と語った。
アメリカは、ロシア国内での一連の攻撃について事前に何も知らなかったとして関与を否定した。だが米諜報当局者らは記者団に対し、ウクライナが自分たちに内密で攻撃を行った可能性もあると示唆。
ウクライナは一連の事件への関与を肯定も否定もしておらず、結果として「ウクライナ黒幕説」を黙認している。
秘密裏に展開される抵抗運動などの真実は大抵、後にならないと分からない。だが私たちがロシア反体制派と交わしたやりとりなどからは、一部の反プーチン派組織がウクライナから何らかの支援を受けた可能性が見て取れる。
ポノマレフは、ロシア国内の6つ程度の反プーチン派組織と個人的なつながりがあり、彼らが任務を遂行するためにウクライナからの支援を仲介していると語った。支援の中に兵器や爆発物は含まれていたかを尋ねると、「反プーチン派組織に何が必要かは明白だと思う」と、彼は答えた。
こうした組織はほかにも確認されている。無政府共産主義戦闘組織(BOAK)やストップ・ザ・ワゴン(STW)、極右のロシア義勇軍団(RVC)などだ(ポノマレフが代表のNRAは、その存在を疑問視する向きもある)。
ロシアを変える難しさ
より活発に活動している組織の1つがBOAKだ。共同創設者のドミトリー・ペトロフ(別名イリヤ・レシー)は、シリアでも戦闘経験がある。
BOAKは1月にクラスノヤルスクでシベリア横断鉄道を爆破するなど、いくつかの破壊工作を実行。昨年5月には、モスクワ北部にあるロシア軍の基地に物資を輸送していた鉄道を爆破した。
BOAKはポノマレフが「ウクライナから支援を受けている」と語った組織の1つだが、ウクライナでの戦争が始まる前からあった生粋の反プーチン派組織だ。
極右RVCを率いるデニス・ニキーチン(別名デニス・カプースチン)も、10年以上前から活動を展開している。彼は01年にドイツに拠点を移した後、ヨーロッパのいくつかの国で極右集団に出入りしていた。3月2日には、RVCの工作員がウクライナからロシアのブリャンスク州に侵入。