私ならこうしてクリミアを奪還する──米軍事専門家3人
How Ukraine could retake Crimea
ドローンによると思われる攻撃で燃え上がる、クリミアの軍港セバストポリの燃料貯蔵施設(4月29日) Governor of Sevastopol Mikhail Razvozhaev/Telegram/REUTERS
<まもなく大規模な反転攻勢に出ると予想されているウクライナ軍が確実に効果的にクリミアを奪還するために踏むべき段階とは>
「クリミアは解放される。もう後戻りはできない」――ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権でクリミア問題を統括するタミラ・タシェワは4月25日にこのように述べた。
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が隣国ウクライナに本格侵攻を開始してから14カ月以上。ウクライナによる反転攻勢が迫っていると予想されるなか、ウクライナがどのようにしてクリミアを奪還できるかに関する論調も強気に変化した。タシェワによれば、ゼレンスキーは既に政府当局者らに、「クリミア奪還直後」にどう行動を取すべきかを指示しているという。
ロシア側も、クリミアが近いうちに「前線」になり得るという現実に向けた備えを進めている。米海兵隊の元大佐でシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」上級顧問のマーク・カンシアンは本誌に対して、ロシアがこの数週間、クリミア半島沿岸の広い範囲と南部セバストポリの海軍基地の要塞化を進め、ウクライナ軍の進軍に備えていると指摘した。
戦争は長期間続く
カンシアンは、クリミア奪還は可能だが容易ではなく、期待されているほど迅速には達成できないかもしれないと予想する。ウクライナは今後、ロシアに占領されているドネツクやルハンスク、ヘルソン、ザポリージャやクリミアの奪還を目指して、長期にわたる攻撃を仕掛ける可能性が高いと述べた。
「一度の攻撃でロシア軍を追い出すことはできないだろう。攻撃は1カ月にわたって続き、限界点に達するだろう」とカンシアンは指摘。限界点とは、攻撃側の優勢のピークを指す言葉で、このピークを過ぎると部隊の消耗や損耗により戦闘力は減退していく。
「その後は立て直しの時期があり、次の戦いは夏の終わり頃かもしれない。攻勢に出て、一部の領土を奪還し、いったん攻撃を止めて立て直しを行い、再び攻撃を行う。このような展開になるだろう」とカンシアンは述べ、さらにこう続けた。「スペインの内戦がこれと同じ展開だった。内戦は2年半にわたって続き、勝利した側(反乱軍)は幾度にもわたって攻勢をかけ、そのたびにより多くの領土を制圧していった」