私ならこうしてクリミアを奪還する──米軍事専門家3人
How Ukraine could retake Crimea
米欧州軍の元副司令官で欧州政策分析センター(CEPA)の特別研究員であるスティーブン・トゥイッティもカンシアンの予想を支持し、ロシアとウクライナが領有権を争う前線の総延長は約1280キロメートルにのぼると指摘した。
「ウクライナ側がドンバスからヘルソン、クリミアに至るまでの約1280キロメートルの境界地帯すべてを攻撃しようとしているとは思わない」と彼は本誌に述べ。「昨年の夏(のハルキウ)と同じように、ウクライナ側が奪還するのは、その一部だろう。大規模な攻勢に出るのではなく、幾度にもわたって攻勢をかける作戦だと思う」
カンシアンは、ウクライナがクリミアを奪還するために「長期にわたって包囲」する作戦に出るだろうと予想する。「クリミア奪還にあたっては、攻撃ではなく包囲が行われると思う」と述べた。
ウクライナはクリミアを(ロシアから)切り離し、ロシアとクリミアをつなぐ重要な補給路であるクリミア大橋を破壊して「時間をかけて圧力をかけ、(ロシア側が)持ちこたえられないように」するつもりだろうと彼は指摘。「これは大変な作業だが可能ではある。実現できる可能性は、以前よりも高まっている。ウクライナ軍は今や多くの装備を手に入れ、経験や訓練を重ねているため、それがクリミア奪還に役立つだろう」
地上部隊は最終段階
トゥイッティは、ウクライナ側はいずれかの段階で、ロシアがクリミアから「物資であれ人員であれ、補給するのを妨害する」必要があるだろうと言う。カンシアンも同様に、ロシア軍への補給を妨害することがクリミア解放の鍵を握るだろうとした。
「最終的に海岸線まで進軍してクリミアを包囲し、橋を破壊し、補給に使われる船舶を攻撃し、数週間あるいは数カ月にわたってロシア軍の関連施設を攻撃して、その後に地上戦を試みるのではないか」とカンシアンは指摘した。
クリミア奪還のためには、最終的にウクライナ軍はクリミア半島全域に地上部隊を配備する必要があるとトゥイッティは指摘。「地上に部隊を配備しなければクリミアを制圧することはできず、領土を掌握できなければ維持することもできない」と述べた。