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米関税で景気鈍化とインフレ進行も=JPモルガンCEO

2025年04月07日(月)20時05分

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(写真)は7日公表した株主への年次書簡で、米国の関税と世界的な貿易戦争に伴う混乱で米経済の成長が鈍化し、インフレが進行する可能性があると指摘、悪影響が長期化する恐れがあるとの認識を示した。2月撮影(2025年 ロイター/Ann Saphir/File Photo)

Nupur Anand

[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は7日公表した株主への年次書簡で、米国の関税と世界的な貿易戦争に伴う混乱で米経済の成長が鈍化し、インフレが進行する可能性があると指摘、悪影響が長期化する恐れがあるとの認識を示した。

同氏は関税が米国の長期的な経済同盟関係にどのような影響を及ぼすのか懸念を表明。

「経済は(地政学を含め)かなりの混乱に直面している。税制改革や規制緩和という潜在的なプラス要因と、関税や『貿易戦争』、根強いインフレ、多額の財政赤字、依然としてかなり高い資産価格といボラティリティーといったマイナス要因がある」と述べた。

「インフレという結果につながる可能性が高い。関税が景気後退を引き起こすかは依然不明だが、成長は鈍化する」との見方も示した。

ダイモン氏は他国による報復の可能性を指摘し、関税は経済への信頼感、投資、資本フロー、企業利益、ドルに影響を与える可能性があると述べた。

「この問題は早く解決すればするほど良い。悪影響は時間とともに累積的に増大し、元に戻すのが難しくなるからだ」との認識も示した。

関税で金利の方向性を巡る問題も浮上するとし、最近はドル安で金利が低下しているが、成長の鈍化とリスク選好度の低下が見込まれ、金利が上昇する可能性もあるとし、1970年代のスタグフレーションに言及した。

ソフトランディングが軌道を外れる可能性もあると指摘。

「私たちは、株価や債券価格が最近の下落後も依然として高水準にある中で、この不確実な時代に突入する。市場はまだ、かなりソフトなランディングが続くという前提で資産価格を評価しているようだが、私はそこまで確信できない」と述べた。

ロイター
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