元ポルノ女優への「口止め料」については完全に開き直るトランプ...「選挙法違反」にできるのか?
Not a Slam Dunk Case
軽犯罪にしたくない理由
ダニエルズが暴露話の提供をタブロイド紙のナショナル・エンクワイアラーに持ちかけると、同紙の発行人でトランプの長年の友人であるデービッド・ペッカーはすぐにトランプ側に連絡。
その後、トランプの尻拭い役を長いこと務めている顧問弁護士のマイケル・コーエンが、自分のペーパーカンパニーを通じてダニエルズに口止め料として13万ドルを渡した。
弁済のために、トランプはコーエンに42万ドルを支払った。当然ながらトランプはこの支払いの隠蔽を図り、架空の契約に基づく弁護士費用として計上した(42万ドルは分割払いとなっており、それぞれの支払い手続きを合わせて34件の罪状を構成している)。コーエンはこの一件に関与した罪で起訴され、有罪を認めて禁錮3年の刑に服した。
現時点でトランプの弁護団は、ダニエルズに口止め料を払った事実について争う構えをほとんど見せていない。コーエンが起訴されたため、この件は既に公文書に記録されてしまっている。
弁護団が異議を唱えているのは、選挙を有利に進めるためにトランプが業務記録を改ざんしたという検察側の主張についてだ。
ブラッグは、トランプが34件の罪状について嘘をついたと証明するのに必要な全ての証拠を持っているようだ。起訴状には「ドナルド・J・トランプ取り消し可能信託の総勘定元帳」における全ての虚偽記載について、その日付と支払い証明書の番号が記されている。
トランプが取ったとされる行動に、ニューヨーク州法の言う「詐取の意図」があったのは明白だ。起訴のこの部分については反論の余地はない。
しかしブラッグにとって問題なのは、これらが軽犯罪にすぎないということだ。ブラッグはトランプを重罪で裁きたいと考えている。
なぜか。最も明らかな理由は、起訴が党派主義に基づくケチな策略だと見せたくないことだ。だが、純粋な法律上の理由もある。軽犯罪だと出訴期限が過ぎているが、重罪ならば期限内だからだ。
トランプが口止め料を渡した時期が重要な理由はそこにある。ブラッグはこの計画が「選挙法違反」だと主張しており、そうであればE級の重罪に当たる。