ウクライナとNATOに最大の脅威、黒海配備が噂されるロシアの極超音速核ミサイル
Chinese Pundit Warns Russia May Bring Major New Threat to Black Sea
南アフリカ、中国との海軍合同演習に参加したフリゲート鑑ゴルシコフ Russian Defence Ministry/REUTERS
<核弾頭搭載可能で、西側の防空システムを破ることができる極超音速ミサイル、ツィルコンの配備をもくろむロシアに、ウクライナとNATO諸国は警戒感を強めている>
2月27日に南アフリカ、中国との海軍合同演習を終えたロシア軍は、黒海に危険な兵器を持ち帰る可能性があると、中国の軍事評論家は語った。
ロシアの国営タス通信は2月27日、ロシア海軍の艦隊が中国、南アフリカの海軍とインド洋で合同演習を行った後、長距離展開任務を継続すると報じた。
10日間にわたる演習の間、3カ国の海軍は戦術的作戦訓練を実施した。タス通信は、ロシア北方艦隊の報道発表を引用し、艦隊が砲撃訓練、機雷掃海、救助活動に参加したことを伝えた。これらの作戦を主導したのは、ロシアのフリゲート艦「アドミラル・ゴルスコフ」と中型海洋給油船「カーマ」だった。
中国人民解放軍の元教官で軍事評論家の宋忠平(ソン・チョンピン)によれば、今回の演習の目的は、黒海における西側の防空システム突破を目指したものだったという。宋は、香港フェニックスTVの論客であり、中国のタブロイド紙環球時報にも頻繁に寄稿している。
「昨年4月ロシア黒海艦隊は旗艦、巡洋艦モスクワが沈没させられて、戦闘能力が低下した。それを補うために、極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」を装備したゴルスコフが黒海に配備される可能性がある」と、宋はサウスチャイナモーニングポストに語った。ツィルコンは高速のため既存の防空システムは対応できず、核弾頭も搭載可能だ。
NATOの防空システムを突破
ロシアの極超音速ミサイルは、NATOの防空システムを貫通し、「ウクライナの地上目標を破壊する」ことができるため、ウクライナ軍と西側同盟国にとって大きな脅威になりかねない、と宋は言う。
ウクライナ南部軍司令部は、ロシア軍が28日に黒海艦隊に新たな艦船を追加したと報告した。現在、ミサイル艦5隻と潜水艦2隻を含む17隻が配備されている。南部軍司令部によれば、艦隊全体で、最大32発の巡航ミサイル「カリブ」を搭載できる。
西側諸国はこれまでも、ロシアの北方艦隊の艦船に戦術核兵器が配備されていると警告してきた。
ノルウェーの諜報機関は「北方艦隊の潜水艦と水上艦が核戦力の中心になる」と報告。さらに、ロシアの戦術核兵器はNATO諸国に「特に深刻な脅威」をもたらす、と付け加えた。
「さらに、ロシアは特にノルウェーとNATOを脅かすことができる水中の戦闘能力、対衛星兵器、サイバーツールを有している」とも報告している。