ロシア侵攻から1年 ゼレンスキーが見せた「想定外」の徹底抗戦
国内のゼレンスキー支持率は80%
キーウ国際社会学研究所のアントン・フルシェツキー副所長は、ゼレンスキー氏の支持率は70─80%だと見ている。
「これほど支持率が安定するのは、ウクライナ史上、過去に例がない」と同氏は指摘する。
政界での主要なライバルは意思決定からほぼ締め出されており、他国外交官の中には、ゼレンスキー氏のチームに権力が集中していることをひそかに懸念する声もある。
国内政治が休戦状態となったことで、ゼレンスキー氏は汚職が疑われる政府関係者の一斉摘発に着手できた。対象者には、同氏自身の権力基盤に近い人物もいる。
2019年の大統領選でゼレンスキー氏に敗れたペトロ・ポロシェンコ前大統領は、戦争中に戦時指導者としてのゼレンスキー氏の手腕を評価することは適切ではない、と語る。
ポロシェンコ氏はロイターに対し、「2022年2月24日以降、私は野党の指導者ではない。ゼレンスキー氏もこの私も、2人とも兵士なのだ。すべてのウクライナ人が、特定の人物ではなく、ウクライナという国を中心に結束すべきだ」と語った。
「我が国が勝利した後で、彼や私の業績について、国民が評価を下すだろう」
今のところ、ゼレンスキー氏への国民の支持は確かなように見える。
ウクライナ東部で従軍する部隊指揮官で、「マツダ」の暗号名を持つアントン・フェドレンコ氏は、こう大統領を評価した。
「大統領は国内に留まった。パニックにも陥らず、直ちに行動を開始した。世界の関心をウクライナに集めたことも非常に重要だ。ウクライナ侵攻という問題を世界に広めた」
(Tom Balmforth記者、翻訳:エァクレーレン)
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