最新記事

SNS

「バレンタインデー前後が要注意」──ロマンス詐欺専門の探偵が明かす、手口と予防策

I Catch Dating Scammers

2023年2月9日(木)14時05分
サマンサ・クーパー(私立探偵)
サマンサ・クーパー, SAMANTHA COOPER

探偵のスキルで詐欺師の正体を突き止めるクーパー COURTESY SAMANTHA COOPER

<「恋愛にうぶで奥手な人だけが騙されるわけではない...」詐欺師がアプリでのチャットをやめたがる理由とは? 恋も財産も失わないために注意すべきこと>

私は2014年に私立探偵を開業したが、今は出会い系の事案を専門にしている。きっかけは、ロマンス詐欺の被害に遭った女性との出会いだ。

それは16年のことで、彼女は出会い系アプリである男性と知り合ったが、後に彼が名前や経歴などを偽っていることに気付いた。

男の本名も、年齢も住所も不明。手掛かりは変わった名前の家族がいることだけだった。そこで私はこの名前の人を徹底して探り、その家族写真から詐欺師を割り出すことに成功した。

この手の詐欺師は、交際するふりをして被害者を巧みに操り、金銭やギフトカード、高額商品などをせしめる。私の仕事は、クライアントがやりとりしている男たちの素性を探り、経歴などに嘘がないかどうかを確認することだ。

もちろん、危ない手は使わない。EUの一般データ保護規則(GDPR)を遵守し、あくまでも合法的に活動している。一定のプロ用ツールは使うが、勝敗を分けるのは探偵としての腕だ。

調べ上げた情報は全て報告書にまとめ、証拠書類としてクライアントに手渡し、次に取るべき行動について適切な助言を行う。この報告書は、クライアントが希望するなら警察に渡してもいい。私の役目は詐欺を未然に防ぐことで、その先は警察の仕事だ。

たいていの人は自分はだまされないと信じている。うぶで恋愛に飢えている人だけがだまされるのだと。でも、そんなものではない。ネット上の会話では、相手が誰かを確かめるすべもない。特定の異性と話しているつもりでも、実際の相手はだましのプロ集団かもしれない。

心で動かず、頭で考えること。電話番号を聞かれても、絶対に教えない。詐欺師がアプリ上でのチャットをやめたがるのは、アプリ運営会社の監視の目を逃れたいからだ。電話番号を使うショートメッセージなら、誰にも悪事はばれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中