「バレンタインデー前後が要注意」──ロマンス詐欺専門の探偵が明かす、手口と予防策
I Catch Dating Scammers
探偵のスキルで詐欺師の正体を突き止めるクーパー COURTESY SAMANTHA COOPER
<「恋愛にうぶで奥手な人だけが騙されるわけではない...」詐欺師がアプリでのチャットをやめたがる理由とは? 恋も財産も失わないために注意すべきこと>
私は2014年に私立探偵を開業したが、今は出会い系の事案を専門にしている。きっかけは、ロマンス詐欺の被害に遭った女性との出会いだ。
それは16年のことで、彼女は出会い系アプリである男性と知り合ったが、後に彼が名前や経歴などを偽っていることに気付いた。
男の本名も、年齢も住所も不明。手掛かりは変わった名前の家族がいることだけだった。そこで私はこの名前の人を徹底して探り、その家族写真から詐欺師を割り出すことに成功した。
この手の詐欺師は、交際するふりをして被害者を巧みに操り、金銭やギフトカード、高額商品などをせしめる。私の仕事は、クライアントがやりとりしている男たちの素性を探り、経歴などに嘘がないかどうかを確認することだ。
もちろん、危ない手は使わない。EUの一般データ保護規則(GDPR)を遵守し、あくまでも合法的に活動している。一定のプロ用ツールは使うが、勝敗を分けるのは探偵としての腕だ。
調べ上げた情報は全て報告書にまとめ、証拠書類としてクライアントに手渡し、次に取るべき行動について適切な助言を行う。この報告書は、クライアントが希望するなら警察に渡してもいい。私の役目は詐欺を未然に防ぐことで、その先は警察の仕事だ。
たいていの人は自分はだまされないと信じている。うぶで恋愛に飢えている人だけがだまされるのだと。でも、そんなものではない。ネット上の会話では、相手が誰かを確かめるすべもない。特定の異性と話しているつもりでも、実際の相手はだましのプロ集団かもしれない。
心で動かず、頭で考えること。電話番号を聞かれても、絶対に教えない。詐欺師がアプリ上でのチャットをやめたがるのは、アプリ運営会社の監視の目を逃れたいからだ。電話番号を使うショートメッセージなら、誰にも悪事はばれない。