ロシアを脅かし始めたウクライナの越境攻撃
Drone Explodes Less Than 100 Miles From Moscow as Fear of Strikes Grows
ウクライナ軍が過去にも攻撃に使ったとみられる旧ソ連製の偵察用無人機Tu-141 European Defense-YouTube
<ウクライナのドローン攻撃が激化しているとするなら、ロシアの防空体制に問題が生じている可能性がある、と専門家>
ロシア当局によれば、首都モスクワから150キロも離れていない場所で、正体不明のドローンが爆発した。
この事件は、モスクワから南西に150キロ足らず、ウクライナとの国境から約260キロのカルーガで発生した。
カルーガ州のウラディスラフ・シャフシャ知事は2月6日、テレグラム上で、「朝5時、州都カルーガ近郊の森、高さ50メートルの空中で、ドローンが爆発したことを確認した」と投稿した。
シャフシャによれば、現地インフラへの被害はなく、死傷者も出ていないという。ドローンの詳細や、発射地点に関する詳細は不明だ。
カルーガ州にドローンが飛来したのは、今回が初めてではない。
核搭載可能な爆撃機の本拠地
ロシア紙コメルサントは2022年10月、ロシアの防空システムがカルーガ州南部の上空で、正体不明の無人航空機(UAV)を撃墜したと報じている。その1週間足らず前にも、カルーガ州にあるシャイコフカ空軍基地の上空で、正体不明のドローンが爆発している。この基地は、核兵器搭載可能な超音速ミサイル爆撃機ツボレフTu-22M3を運用する航空連隊の本拠地だ。
ロシア国営のタス通信によると、カルーガ州の知事は2022年12月、同州において、法人や個人、市民によるドローン、クワッドコプター、気球、小型航空機の使用禁止を承認した。この規則の一部として、空域の使用に関する届け出が義務づけられている。
ドローンはウクライナから飛んできた可能性もあるということだ。
元米海兵隊員で、外交政策研究所シニアフェローのロブ・リーはツイッターでテレグラムの記事を引用し、今回爆発したドローンはウクライナのUAVで、高性能爆弾OFAB-100-120を搭載したツボレフTu-141ストリーシュだと述べた。Tu-141は元は旧ソ連製の偵察用ドローンだ。
米海軍分析センターのロシア担当アナリストで、新アメリカ安全保障センターの客員上席研究員を兼任するサミュエル・ベンデットは本誌の取材に対し、ウクライナが関与しているかどうかについては、まだ情報を集めているところだと述べた。
ロシア、ウクライナともに、政府はコメントを発表していない。
「それが本当にTu-141だったのか、それとも別のドローンだったのかは、あまり重要ではない。ウクライナが、ロシア領空の奥深くにドローンを飛ばし、安全であるはずの目標を攻撃しようとすることによって、ロシアに大きな圧力をかけようとしている事実のほうが重要だ」とベンデットは述べた。