英主力戦車「チャレンジャー2」を14台供与?──まだ200〜300台足りない
Ukraine's new tanks won't deal fatal blow to Putin: U.K. MP
イラクでパトロール中のチャレンジャー2と英軍兵士(2003年) HO/Angus Beaton-REUTERS
<ウクライナがロシアに勝つためには、まだケタ違いの数の主要兵器が必要だ、と英議員>
イギリスが新たにウクライナに供与する予定の戦車について、イギリスのボブ・シーリー下院議員は1月16日、ウクライナがロシア軍と戦うのを支援するには十分ではないが、それでもウクライナの戦力を「大幅に増強する」ものになる、と述べた。
英国防省は16日、「ウクライナの成功を加速させるための大規模な戦闘力」の一環として、英陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」をウクライナに供与すると発表した。
シーリーは、これらの戦車の供与は重要な意味を持つものの、ヨーロッパと世界の安定を確保するためには、西側諸国がウクライナにさらなる軍事支援を提供する必要があると主張した。
「チャレンジャー2戦車を14台送る決定は重要であり、イギリスのリーダーシップを示している。だがウクライナが勝利するためには、300台超の戦車と500台超の歩兵戦闘車が必要だ」とシーリーはツイートした。
彼はまた、英ニュース専門局「GBニュース」とのインタビューの中で、戦車14台は「(ウクライナ軍の)戦力を大幅に増強することにはなるものの、戦況に大きな変化をもたらすものにはならない」と述べた。
他国も続け
「ウクライナには、西側諸国がこれまでに供与した大量の軍事支援に加えて、最低でも200台か300台の主力戦車と、おそらく500~600台の歩兵戦闘車が必要だ」とシーリーは言う。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による「日和見主義と破滅的な冒険主義」の結果、ウクライナでは何千人もの人々が命を落としているとつけ加えた。
イギリスがこれまで、ウクライナに戦車などの軍事兵器を供与してこなかった理由を問われると、シーリーは、兵器を供与することで戦闘をエスカレートさせることを懸念したのだと語った。
「軍用機や戦車などの主要兵器は、過去に戦闘をエスカレートさせてきた。だが民間のインフラ施設を攻撃し、約4000万人のウクライナ市民の生活を地獄のようなものにしようとするロシアの戦術が、その力学を変えたと思う」とシーリーは言う。「私たちがウクライナに戦車の供与を決めたのは、ほかの国々も戦車を供与するよう促すためもある」
ドイツに対しても、ウクライナに戦車を供与するよう圧力が高まっている。ロイター通信によればドイツでは16日、ドイツ製戦車の供与について政府への圧力が高まるなか、クリスティーネ・ランブレヒト国防相が辞任した。ランブレヒトはかねて軍事的な知識の乏しさが指摘され、また2022年1月には軍艦などの提供を求めていたウクライナに対してヘルメット5000個を供与すると発表して批判を浴びた。