ドイツの最強戦車「レオパルト2」を大量供与しなければ、形勢は逆転する
Tanks, but No Tanks
「前線を突破する必要がある。詳細は言えないが、現下の状況では、われわれはそうした必要性を認めている」と、コリン・カール米国防次官(政策担当)は先週末ウクライナを訪問した際、記者団に語った。「この挑戦をウクライナがどう克服するか、われわれは熟慮しなければならない」
開戦時にロシア軍がウクライナの首都キーウの陥落作戦に失敗して以来、戦況は一進一退の状況を繰り返し、今はドンバス地方の見晴らしのよい平原で過酷な消耗戦が展開されている。戦局の変化に伴い、ウクライナ軍が必要とする兵器も変わり、西側はそれに対応すべく支援を調整してきた。昨年12月には、ロシアの激烈なミサイル攻撃からウクライナのインフラを守るため、アメリカは迎撃ミサイル「パトリオット」の供与計画を発表。ドイツも最新鋭の防空システムの追加供与を決め、オランダのマルク・ルッテ首相も訪米中の17日、パトリオットを供与する意向を明らかにした。
クレバリー英外相は、「紛争の進展に伴い、支援も変化してきた」と述べ、いま優先すべきは「(ロシアに併合された)東部と南部の奪還作戦を成功させるため、ウクライナ軍に装甲車両と重火器を持たせること」だと断言した。
主力戦車が300台必要
ここ数カ月ドンバス地方の一部であるドネツク州で戦闘が激化している。ウクライナ軍は戦車と装甲兵員輸送車を切実に必要としているとみて、ジョン・ウォレス英国防相は先週末、戦車「チャレンジャー2」14台を供与する計画を発表した。西側が現代的な主力戦車をウクライナに供与するのは、これが初めてだ。
ウクライナ政府は戦車と装甲車両の提供は戦場で戦う兵士たちの命を救う支援だと述べている。ウクライナ軍が今使っている車両の多くはクラウドファンディングなどの寄付によるもので、大半が安価な中古車。故障も多く、装甲もないため、ロシア軍の攻撃から兵士たちを守れないと、ウクライナ議会のサーシャ・ウスティノヴァ議員は訴える。「ウクライナ兵は民生用の車で地雷だらけの戦場を走り、命を落としている」
だがイギリスが主力戦車14台を送ったところで焼け石に水だ。ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官によると、ウクライナ軍がドンバス地方を攻略するには300台の現代的な戦車が必要だという。今のところウクライナ軍はソ連時代の旧式戦車T72を頼みの綱にしている。