ドイツの最強戦車「レオパルト2」を大量供与しなければ、形勢は逆転する
Tanks, but No Tanks
欧州12カ国の軍隊がレオパルト2を採用している。写真はスイス軍のもの(2022年11月28日) Arnd Wiegmann-REUTERS
<世界50カ国の国防相が集まる20日のウクライナ支援会合でドイツは主力戦車の供与を認めるか。第一次大戦のような泥沼の消耗戦になるかの瀬戸際だ>
1月20日にドイツで開かれるウクライナへの軍事支援に関する会合を控え、西側各国の防衛関係者は緊張の面持ちで事態の推移を見守っている。この会合では、主力戦車や長距離ミサイルの大量供与を求める声が上がる一方で、アメリカとドイツは依然、ロシアがNATOの直接的な介入とみることを警戒し、強力な武器の供与に慎重姿勢を取る可能性がある。
ドイツのラムシュタイン空軍基地で開催される会合では、およそ50カ国の国防トップがウクライナ支援について協議する。折しも、ロシアは春季攻勢に向けて新たな動員令を準備していると伝えられ、ウクライナ戦争は新局面に突入する形勢だ。イギリスは支援を加速させる方針を打ち出し、ジェームズ・クレバリー英外相は訪米中の17日に行った記者会見で、多くの戦死者を出しているロシアは新たな動員を「必ず行うだろう」と述べた。
「この戦争が延々と長引き、第1次世界大戦のような消耗戦になることをみすみす許すわけにはいかない」と、クレバリーは力を込めた。「それゆえ今こそウクライナへの支援を増強すべきだ」
米独は方針を変えるか
冬に入り、ウクライナ軍が東部ドンバス地方でロシアの歩兵隊や傭兵部隊と激戦を展開するなか、何カ月も前から続いていきた武器供与をめぐる西側各国の駆け引きは一段とヒートアップしている。ロシア軍は民間軍事会社ワーグナー・グループが提供する傭兵部隊に率いられ、多大な人的犠牲を払いつつも、ここ数週間「じわじわ」と盛り返してきたと、米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報担当調整官は18日に電話で記者団に述べた。
ウクライナ政府も西側もウクライナ兵の消耗の酷さに懸念を募らせており、一部にはアメリカもここに来てようやく長距離ミサイルの供与に踏み切るのではないかと期待する向きもある。そうなれば、これまでアメリカと足並みを合わせて、自国製の主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与を認めていなかったドイツも、ゴーサインを出すかもしれない。開戦1周年の節目を控え、ロシアが大攻勢をかけると予想されるなか、米政府内でも、ウクライナの勝利を決定づけるため、より強力な武器を供与すべきだとの声が高まりつつある。