大幅緩和に舵切った中国「ゼロコロナ政策」 現状と今後の予想
一部専門家は、パンデミック発生からの2年間、中国は感染をほぼゼロに抑え込み続けようとした結果として集団免疫がほとんど形成されていない点を挙げ、追加接種の拡大を促している。
もっとも政府は、より効果があるとされる外国製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンはまだ承認していない。米情報部門幹部の1人は最近、習近平国家主席が西側のワクチン受け入れに消極的だとの見方を示した。
ゼロコロナ緩和に対する人々の反応
人々はゼロコロナ政策に不便さや不透明さを感じ、経済的な打撃を受け、移動も妨げられていた。今、人々は喜びに満ちあふれている。
専門家の話では、当局のキャンペーンで中国全土に新型コロナの恐怖が広がっていたが、人々は今、確実に死ぬしかない病気ではないと学びつつある。それでも医薬品の買い付け騒動は収まっていない。保健衛生当局は、医薬品の供給がひっ迫しており、便乗値上げの報告もあると警鐘を鳴らした。
国営メディアが新型コロナウイルスに関して外国、特に米国での死亡例や混乱を盛んに喧伝してきただけに、高齢者の間には今後の感染拡大への心配も広がっている。
経済活動や国境の全面再開にどうつながるか
多くのアナリストは、来年3月か4月に国境が全面再開されるとの見通しを示してきた。中国はもう3年近く、海外からの旅行者に対して事実上、国境を閉ざし続けている。国際旅客便の本数はパンデミック前に比べればごくわずかで、入国者は8日間の隔離を強いられている。
ゴールドマン・サックスは経済活動の再開は来年4月以降、少しずつ進むと予想。JPモルガンのアナリストチームは、再開への道は曲折をたどる可能性が高いと警告する。
今後は冬のインフルエンザ流行の状況や、来年3月の全国人民代表大会(全人代)などが再開時期の手掛かりになりそうだ。