大幅緩和に舵切った中国「ゼロコロナ政策」 現状と今後の予想
中国政府は新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込もうとする「ゼロコロナ」政策の大幅緩和を発表した。上海の検査会場で撮影(2022年 ロイター/Aly Song)
中国政府は7日、新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込もうとする「ゼロコロナ」政策の大幅緩和を発表した。3年にわたって続けられてきたゼロコロナ政策は経済を疲弊させ、厳しい規制への抗議行動も拡大した。今回の緩和策はどういう意味合いがあるのか。
ゼロコロナ政策は破棄されたのか
中国政府は公式にはゼロコロナ政策を打ち切るとは表明していない。しかし修正措置が実際に講じられているわけで、コロナと人々を共生させる方針へと急速に転換しつつある最も明確な証拠と言える。
保健衛生当局はなお、再び厳格な規制が必要になるかどうか見極めるために死者数の動向を注視しているとくぎを刺している。
一方過去数週間では、広州市や北京市など複数の都市で新規感染者数が過去最多を記録したにもかかわらず、さまざまな政策修正が行われた。
以前にも中央政府は地方政府に対し「一律的な」対応をしないよう通達していたが、おおむねお役所の形式的な通達に過ぎないとみなされていた。現在、各都市は封鎖対象を新規感染者が出た場所を含む街区の丸ごとではなく、集合住宅の当該の建物やフロアにとどめるよう要請されている。
なぜ今軌道修正するのか
ゼロコロナ政策に対する一般市民の忍耐は限界に達し、鴻海精密工業の鄭州にあるアップル「iPhone」製造工場で労働者が暴れだしたり、広州市で暴動が発生したりするなど各地で不穏な出来事が続いたためだ。
また厳しい規制が消費や旅行を妨げ、工場生産や世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱を起こしていることから、過去1年間に公表された中国の経済指標は軒並み低調か、予想を下回ってきた。
ゼロコロナ緩和への備えは
中国政府は最近、高齢者のワクチン接種率を高める方針を打ち出した。幾つかの都市は、カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股分公司)製の吸入式ワクチンの追加接種を実施している。
政府はワクチン承認作業も加速。国営メディアによると、4日以降に4種類が新たに承認された。13種類が緊急使用向けに準備されているとの報道もある。