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ビットコインの持続「不可能性」は時間とともに増大している...3つの基準で検証の結果

Bitcoin Mining Is Unsustainable

2022年11月11日(金)18時18分
ジェス・トムソン(本誌科学担当)
ビットコインイメージ

ANDRIY ONUFRIYENKO/GETTY IMAGES

<大量のエネルギーを消費する「マイニング」による気候への損害は、世界全体で120億ドルを超えると専門家が警告>

科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された論文によると、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)は膨大な電力を必要とするため、環境的に持続不可能だという。その環境負荷は牛の飼育など他の産業を上回り、生成される通貨の価値より大きい場合もあるそうだ。

「理由は生成の過程で(取引承認の仕組みとして)『プルーフ・オブ・ワーク(PoW)』を使うからだ」と、論文の共同執筆者でニューメキシコ大学経済学部准教授のベンジャミン・A・ジョーンズは本誌に語った。

1年間にビットコインのマイニングで消費されるエネルギー量は推定75.4テラワット時。オーストリアの2020年の全エネルギー使用量69.9テラワット時を上回る。

ビットコインは最も人気のある仮想通貨であり、どの国の金融システムの枠外でも取引可能なデジタル非政府系通貨の1つ。これらの取引は匿名で、巨大なデジタル台帳の分散型ネットワークであるブロックチェーンの暗号システムによって承認される。

ビットコインなどの仮想通貨は、マイニングというプロセスを通じて生成される。ブロックチェーンシステムでは、仮想通貨の新しいブロックが取引として承認されるにはネットワーク参加者の「合意」が必須とされ、マイナー(採掘者)が高性能コンピューターを使い、複雑な暗号パズルを解く作業を通じて合意を形成する仕組みがPoWだ。

3つの持続可能性基準

そのためマイナーは、パズルを最初に解こうとして互いに競争する。「世界中のマイナーが専用のコンピューター機器を使い、膨大な量の推測ゲームに参加している」と、ジョーンズは指摘する。

「そこでマイナーはより高性能な機器に投資し、ますます電力を使うようになる。それを世界中でやるので膨大なエネルギー消費につながる」

ビットコイン・マイニングで使われる電力のほとんどは持続可能な資源ではなく、温室効果ガスを排出する石炭や天然ガスを使用する発電所から供給されているようだと、ジョーンズは言う。

「ビットコインの気候への影響は、牛肉生産やガソリンとして燃やされる原油に匹敵する。金採掘や鶏と豚の生産よりずっと有害だ」

論文では3つの持続可能性基準から、ビットコイン・マイニングの環境コストを判定した。推定される二酸化炭素(CO2)排出量の経済的コストと気候変動に伴う損害額(気候損害)が時間と共に増加しているか。ビットコインの市場価格が気候損害の経済コストを上回っているか。1ビットコイン当たりの気候損害は他の産業セクターやコモディティー(1次産品)の気候損害と比較してどうか。

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