最新記事

ツイッター

ツイッターを買収したイーロン・マスクは陰謀論者?ペロシ夫襲撃について、トンデモ理論を支持

Elon Musk Slammed After Tweeting Paul Pelosi Conspiracy Theory at Clinton

2022年10月31日(月)17時49分
アンドルー・スタントン

宇宙ロケットも飛ばす天才起業家はツイッターをどう「改革」するつもりか Dado Ruvic/Illustration/REUTERS

<マスクがツイッターの実権を握れば、トランプのアカウントを復活させるのではないか──そんな不安の渦中でマスクが持ち出したポール・ペロシ襲撃の禍々しい「真実」とは>

ナンシー・ペロシ米下院議長の夫、ポール・ペロシが10月28日に自宅で襲撃された事件を巡り、大富豪のイーロン・マスクがヒラリー・クリントンに対し、陰謀疑惑を強く示唆するツイートして炎上している。マスクは、言論プラットフォームとしてのツイッターの「改革」を掲げて同社を買収したばかりだけにその真意は大問題だ。

クリントンは29日、ポールがサンフランシスコの自宅で襲撃され、ハンマーで殴られた事件についてツイッターで発言した。容疑者デービッド・デパペは過去に、Qアノンなどの右翼の陰謀論を信じていたと報じるロサンゼルス・タイムズの記事を引用してこうツイートした。

「共和党とその代弁者たちは、ヘイトやいかれた陰謀論ばかり拡散している。結果として暴力事件が起きたのは、ショックだけれど驚きではない。彼らにはその発言と行動の責任を取らせなければならない」

これに対しマスクは、2016年にクリントンは替え玉だと報じたサンタモニカ・オブザーバーの記事のリンクを付けてのリプライした。その記事の見出しはこうだ。

「恐るべき真実:金曜日の朝、ポール・ペロシはドラッグを使っていて、男娼と口論になっていた」

「このストーリーには見た目より大きな意味が含まれる可能性もなくはない」と、マスクはコメントした。

削除はしたが謝罪も訂正もなし

この記事はまったくの事実無根で、まともに受け取った人は少ない。マスクはその後、このツイートを削除したが、フェイクニュースを拡散したことに対しては口をつぐんだままだ。

削除したとはいえ、マスクは激しい非難に見舞われた。

「イーロン・マスクは訓練されたジャーナリストではない。危険なほど無責任だ。彼が引用したメディアは2016年に、ヒラリー・クリントンが選挙運動中に死んで、影武者が使われているという記事を出している。低俗だ」と、ソーシャルメディアアプリを手がけるスカッドの創業者兼CEOのアイス・ワトソンはツイートした。「力が大きくなれば責任も大きくなる。気を付けなさい」

「イーロン・マスクはツイッターを『言いたい放題で責任を取らずにいられる、誰でも参加自由な地獄絵図』にはしないと言っている。それならば、2016年にヒラリー・クリントンが死んだと主張したニュースソースからのあなたのゴミツイートの責任はどうなるのか?」と、「倫理を求める市民」という団体はツイートした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中