ミャンマー軍政がコンサート会場空爆、60人死亡 少数民族武装勢力の支配地域で
国軍の空爆で瓦礫と化したコンサート会場 Guardian News / YouTube
<反軍勢力が反撃できない空からの攻撃を強める──>
ミャンマー空軍が10月23日夜、北部カチン州にある少数民族武装勢力の支配地域で行われていた音楽コンサートの会場を空爆し、少なくとも60人が死亡、100人以上が負傷する惨事となった。
反軍政の立場から報道を続ける独立系メディアの「イラワジ」などが伝えたところによると、ミャンマー空軍の戦闘機3機が23日午後8時半ごろ、北部カチン州ハパカント近郊のギンシ村を夜間空爆した。
ギンシ村では当時、地元の少数民族武装勢力「カチン独立機構(KIO)」の創設62周年を祝う音楽コンサートが開催中で、空爆はその会場を直撃。戦闘機は会場の照明などを標的にしたものとみられている。
この空爆でKIOやその武装部門である「カチン独立軍(KIA)」の幹部やメンバー、観衆の一般市民らが死傷した。
著名カチン出身の歌手らも死亡
さらに投下された爆弾の1発がコンサート会場のステージ付近で爆発したため著名歌手のアウラリ氏や人気女性歌手のガラウ・ヨー・ルイさんらカチン出身の芸能人らが即死したという。
SNSには翌日の24日に撮影されたとみられる爆撃を受けたコンサート会場のばらばらになったステージの建物や観客席の写真がアップされ、ガラウさんらへの追悼の言葉が並んでいる。
KIOとKIAのスポークスマンであるナウ・ブー大佐は「軍は敵ではなく一般の住民を狙って攻撃した。これは邪悪な行為であり戦争犯罪である。国民の死を悼んでいる」と、軍による空爆を強く非難した。
空からの攻撃を激化する軍政
最近のミャンマーは、軍政が各地で武装市民組織「国民防衛軍(PDF)」や少数民族武装勢力の激しい攻撃にさらされて苦戦を強いられているという。
一部報道では国土の51%が反軍勢力の支配下になったとも伝えられ、軍政は反軍勢力の手が届かない空からの攻撃を強化している。
地上では軍の車列が反軍勢力の待ち伏せ攻撃で多数の死傷者を出したり、ドローンから爆弾を投下されるなど、国軍兵士の犠牲がこのところ増えている。
このためPDFや少数民族武装組織が保有していない戦闘機や戦闘ヘリコプターなどによる「空からの攻撃」や遠方からの砲撃を強化している。