大規模ミサイル攻撃で墓穴を掘ったプーチン、敗戦の足音
Why Russia's Airstrikes Could Signal a Defining Chapter in Ukraine War
ゼレンスキー政権はNATOの後ろ盾を得てロシアの威嚇に対抗しようとしている。ウクライナをすぐにもNATOに加盟させること。それがロシアのミサイル攻撃に対する西側の最も望ましい対応だと、メレシュコは主張する。ゼレンスキーも9月末にNATOに正式に加盟申請し、迅速に承認手続きを進めるよう求める方針を発表した。
メンデルは、ウクライナ大統領府長官のアンドリー・イェルマークとNATO元事務総長のアナス・フォー・ラスムセンが共同議長を務める作業グループが策定した「キーウ安全保障盟約」に期待する。ウクライナのNATO加盟が正式に承認されるまでの間、NATOの集団防衛にウクライナを暫定的に含める内容だ。
ロシアはウクライナの人々を極寒地獄に陥れるため、冬を迎える前にさらにエネルギー施設を破壊すると脅しをかけている。
だがウクライナ当局が誇らしげにネット投稿している画像や動画でもわかるように、ミサイル攻撃で被害を受けたライフラインの復旧は急ピッチで進んでいる。
新型ミサイルはすぐ底を突く
「新たな攻撃があるたびに、新たな作業に追われる」と、キラルは言う。「市内の公共サービスはその日のうちにおおむね復旧できた。停電や断水にはすぐに対応でき、数日ではなく、数時間単位で解消できるが、インフラ施設の修復には時間がかかり、市民に節電や節水を求めなければならない」
ウクライナ外務省も、「インフラを再建し、学校、幼稚園、病院などに電気を送り、暖房ができるようにするために、追加的な技術・財政支援を歓迎する」と、西側に訴えている。
一方で、ロシア軍には長期にわたってピンポイントの空爆を続ける余力はなさそうだ。先端の精密誘導兵器に必要な部品が西側の制裁で入手できなくなっているからだ。
「イスカンデルやクラブなど、ロシアが保有する精密誘導兵器は数が限られている」と、国際危機グループのイグナトフは指摘する。「大量にあるのはソ連型の旧式ミサイルだけ。これでは目標を正確に狙えないため、重要な都市インフラを破壊できる確率は減っていき、犠牲者だけが増えていく」