ドローン攻撃に対する報復でプーチンが恐れる米最強攻撃型無人機「MQ9リーパー」
Russia's Deadly 'Kamikaze' Drones Compared to Ukraine's Unmanned Arsenal
だが英国防省は、シャハド136のサイズは「過度に大きくも小さくもない」ため、地対空ミサイルなどの対空兵器で撃墜が可能だと指摘する。ロシア軍は複数のドローンで群れをなして攻撃を行うことで、一定の成果を上げているとの見方を示した。
またクレップスはシャハド136について、同じくイラン製で同機のベースとなった「シャハド191」などと比べると性能が劣るようだという。クレップスによれば、シャハド191は米国製ドローン「RQ170センチネル」を解析調査して模倣したものとみられる。「シャハド136の性能はそれらのドローンには遠く及ばないが、破壊をもたらし、敵を不安にさせるには十分だ」と彼女は本誌に語った。
シャハド136の登場は、ウクライナ戦争に地政学的変化をもたらした。ウクライナとアメリカの当局者らはロシア軍に直接的な支援を提供したとしてイランを非難。イランはい一貫してこれを否定する。アメリカはプーチンの「核の脅し」を受けて争いのエスカレートを回避しようとしてきたが、シャハド136が使用されたことでそのドローン戦略に変化が表れるかもしれないと指摘した。
ドローンが戦争をエスカレートさせる
「ウクライナもロシアも自分たちでドローンを製造しておらず、トルコ、アメリカやイランからの供与に頼っている」とクレップスは言う。「アメリカのような国々はこれまでのところ、攻撃用ドローンの供与を制限してきた。だが次はウクライナにリーパーを供与するかもしれないという噂を受けて、ロシアは『ドローンの輸出は事態をエスカレートさせる』と警告しているからだ」
クレップスはさらにこう指摘した。「なぜTB2は戦争をエスカレートさせず、リーパーはエスカレートさせるのか。その理由ははっきりしない。だがそこには、アメリカが過去10年の対テロ作戦においてリーパーをどのように使用してきたのかを踏まえた、各国指導者のリーパーに対する認識が影響しているのだと思う」(編集部注:2020年にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した米軍無人機はリーパーだとみられている)。