ドローン攻撃に対する報復でプーチンが恐れる米最強攻撃型無人機「MQ9リーパー」
Russia's Deadly 'Kamikaze' Drones Compared to Ukraine's Unmanned Arsenal
ロシアのドローン攻撃で破壊されたキーウのアパート。イラン製シャハド136を使ったとみられる。この破壊力が、さらに強いドローンの呼び水になる? Vladyslav Musiienko- REUTERS
<イラン製「シャハド136 」がウクライナにもたらした破壊で、これまで攻撃型ドローンの供与を控えてきた欧米は態度を変えるかもしれない。なかでもロシアが恐れるのは、かつて「アメリカの敵」の暗殺にも使われたと言われる「MQ9リーパー」だ>
10月17日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で複数回の爆発があった。24機を超えるロシア軍の自爆型「カミカゼ」ドローンによる攻撃だ。
使用されたドローンは、イラン製の「シャハド136」。ウクライナでの戦争で初めて導入された、翼幅およそ2.4メートルの三角形のドローンだ。9月半ばにウクライナで初めて確認された(それまでは主にイエメンでイランが支援する武装組織が使用していた)。シャハド136は、レーダーによる検知がきわめて難しく、空中を旋回して標的を認識すると、ミサイルのように突っ込んでいく。
ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻にシャハド136を導入したのは、ミサイルなど他の兵器が不足を補うためともみられる。だが17日の攻撃が証明したように、シャハド136はきわめて破壊力が大きな兵器であり、これでウクライナでの空中戦に新たな要素が加わることになった。ロシアはこれまでも、ウクライナのより小規模な標的に対して小型版の自爆型ドローンを使用しており、ウクライナ側もロシア軍の戦車や軍需物資に対してドローンを使用した疑いがある。
レーダーでの検知が困難
だがシャハド136は、それらのドローンとは少し異なる。ロシア軍が過去に配備した攻撃ドローン「ZALA KYB」は、連続飛行時間が最大30分で、射程距離はおよそ40キロだった。これに対してシャハド136は航続距離が1930キロ以上に達し、射程距離も現在ウクライナ軍が使用している「スイッチブレード」を大幅に上回る。「スイッチブレード」は米国製の安価な自爆型ドローンで、バックパックに入れて持ち運ぶことができ、射程距離は最大で約88キロだ。
シャハド136には、メリットもあればデメリットもある。シャハド136は、ウクライナなどが配備している再利用可能なドローン(主にトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」)に比べて最大積載量が大幅に少ない一方で、無人機のなかで最高の攻撃力をもつと言われる米国製ドローン「MQ9リーパー」などと比べて製造コストが大幅に低く、機体のサイズもずっと小さい。小型だからレーダーでの検知が難しく、ロシアにとってはTB2のような兵器の破壊力に対抗する上で有利だ。
米コーネル大学のドローン専門家でブルッキングス研究所の非常勤上級研究員であるサラ・クレップスは本誌に対して、「(シャハド136は)使い捨てできるし、最終的には自爆するから、途中で撃墜されるかどうかをあまり心配する必要がない」と指摘する。「そこで問題になるのが脆弱性だ。ドローンは大きいほどレーダーに捉えられやすく攻撃されやすいが、小さければ追跡も撃墜も難しい」