最新記事

独立記念日

米世論調査「政府を打倒する」4人に1人

Americans' Anger At Government Is Pushing Many To Believe It Is Time To 'Take Up Arms'

2022年7月4日(月)16時21分
ニコラス・モーガン

議事堂襲撃事件は終わりではなく始まりだった?(2021年1月6日) Stephanie Keith-REUTERS

<まるで自分の国じゃないみたい。トランプの嘘に乗せられた共和党支持者だけでなく、民主党支持者も激しく怒っている>

7月4日、アメリカは立憲民主主義国家として建国されて256年目の独立記念日を迎えた。そんな中、国民の4人に1人が連邦政府に対し「武器を取る」べき時が近付いているように感じているとする世論調査結果が公表された。

これはシカゴ大学政治学研究所が民主党系と共和党系それぞれの世論調査機関と組んで行ったもので、6月30日に発表された。その結果からは、連邦政府に対するマイナスイメージが、政治への幻滅や世論の二極化によってさらに悪化させていることがうかがえる。

調査結果によれば、回答者の過半数が「政府は腐敗しており、自分のような一般人に不利になるような政策を仕組んでいる」と考えている。また約49%が「母国にいるのに自分がよそ者であるかのような感覚が強まってきている」かという問いに完全に当てはまると答えている。共和党支持者の中でこうした感情は特に強いが、支持政党なしの過半数、民主党支持者でもかなりの割合が同じように答えた。

こうした感情が、政府に対するマイナスイメージをさらに悪化させているようだ。「それほど先ではないいずれかの時点で、市民が政府に対して武装蜂起する必要が出てくるかも知れない」と思うかという問いに同意したのは回答者の28%に達した。この割合は共和党支持者では実に45%、支持政党なしでも35%、民主党支持者では20%だった。

米社会の分裂がこれまでになく浮き彫りに

今回の世論調査は、アメリカがイデオロギー的にも支持政党の点でもまた地理的にも激しく分断されている現状と見事に重なり合っている。共和党系の世論調査専門家のニール・ニューハウスは、今回の結果にはそうした傾向がこれまでになく強く示されていると指摘する。

「国内で支持政党の二極化が進んでいることは以前から見てきた通りだ。今回の調査結果はたぶん、国を引き裂いている党派主義的な世論の深い分裂を最もはっきり示す証拠だ」とニューハウスはいう。今回の調査には、彼が共同創立者を務める世論調査機関も参加した。

共和党支持者の世論は連邦政府に対して敵対的に、そしてアメリカの行く末に関して悲観的になりやすいことも示された。

例えば、アメリカの選挙制度の公正さを信じていると答えたのは、共和党支持者の3人に1人に過ぎなかった。明らかに、ドナルド・トランプ前大統領らが2020年の大統領選敗北後に吹聴した陰謀論(根拠がなかったことはすでに証明されている)の影響だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国「白酒」が西側進出へ、メーカーは販売

ワールド

アングル:300%インフレのアルゼンチン、「主食」

ビジネス

アングル:FRB当局者、インフレ鈍化に安堵 利下げ

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅安、PCEデータ受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:小池百合子の最終章
特集:小池百合子の最終章
2024年7月 2日号(6/25発売)

「大衆の敵」をつくり出し「ワンフレーズ」で局面を変える小池百合子の力の源泉と日和見政治の限界

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着たのか?...「お呼ばれドレス」5選
  • 3
    「地球温暖化を最も恐れているのは中国国民」と欧州機関の意識調査で明らかに...その3つの理由とは?
  • 4
    女性判事がナイトクラブで大暴れ! 胸が見えてもお構…
  • 5
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 6
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 7
    ロシアの人工衛星が軌道上で分解...多数の「宇宙ごみ…
  • 8
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 9
    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スー…
  • 10
    「死刑囚だけど、会いたいから行ってるだけ」和歌山…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 3
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セクハラ疑惑で3年間資格停止に反論「恋人同士だった」
  • 4
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 5
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス…
  • 6
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 7
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 8
    ロシア軍部隊を引き裂く無差別兵器...米軍供与のハイ…
  • 9
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 10
    8人負傷のフィリピン兵、1人が「親指失う」けが...南…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 5
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 6
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 7
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 9
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 10
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中