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アングル:中国「白酒」が西側進出へ、メーカーは販売拡大に自信

2024年06月29日(土)08時11分

 中国で蒸留酒「白酒」を手がけるメーカーが、顧客層を西側諸国に広げる取り組みに乗り出しつつある。ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンといった大都市のカクテル愛好家などがターゲットだ。写真は白酒ベースのカクテルを作るバーテンダー。5月16日、ニューヨークで撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

Emma Rumney Casey Hall

[ロンドン/上海 26日 ロイター] - 中国で蒸留酒「白酒」を手がけるメーカーが、顧客層を西側諸国に広げる取り組みに乗り出しつつある。ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンといった大都市のカクテル愛好家などがターゲットだ。

最大手の貴州茅台酒をはじめとする有力メーカーの中国国内における白酒の売上高はなお増え続けている。しかし若い世代が次第に他のアルコール飲料を選ぶ傾向が強まる中で、そのペースは以前に比べて鈍化している。

そこで一部の大手メーカーは新たな収入源開拓に向けて西側への販売活動を開始した。米国や英国、欧州で白酒の知名度はまだ乏しいものの、白酒の風味は西側の愛飲家には好まれるとみられている。

白酒のアルコール度数は通常40―60%で、一般的にソルガムから蒸留されるが、小麦や大麦、キビ、餅米も使用される。味わいは地域や生産方法によって千差万別。ロシアのウオッカに似たもののあれば、醤油に近いタイプも存在する。

中国メーカーによるこうした動きの背景には、ペルノ・リカールやディアジオなどの西側メーカーが中国本土に進出し、特にウィスキーなどを武器に20代や30代の若者を取り込もうとしていることもある。

四川省に拠点を置き、中国本土と世界中の中国人向けに2種類の白酒ブランドを販売する捨得酒業は、より高価(最高ボトル1本1000ドル)なブランド「捨得」を外国の愛飲家向けにどのように改良すべきか探る目的で、試飲会を何度か開催する方針を示した。

試飲会の参加者は米国やオーストラリア、英国、欧州諸国、日本、シンガポールなどからやってくる見込み。販売・マーケティング責任者のズー・インカイ氏は「われわれは外国人の好みはより繊細なことが分かった」と述べた上で、時間をかければ西側の愛飲家は白酒を楽しく味わえるようになり、他のアルコール飲料から市場シェアを奪えると信じていると付け加えた。

ズー氏によると、9月からは欧州の一部と米国、日本で150ドル前後の価格設定で捨得の海外版を販売する方針だ。

<際立った良い香り>

別の白酒メーカー、四川宜賓五粮集団はイタリアの酒造会社カンパリと提携し、両社のブランドを中国と海外で積極的に販売していこうとしている。

テキーラの「エスポロン」やウィスキーの「ワイルドターキー」などを手がけるカンパリの説明では、昨年11月に発表したこの提携はまだ「ごく初期の段階」で、同社の中国における売上高も現時点では比較的少ない。

今後はマーケティングやブランドの広告宣伝、商品開発などで協力していくが、既に四川宜賓五粮集団の白酒を「特別にブレンド」したカクテルを上海で販売している。

中国は世界最大のアルコール飲料市場で、白酒の販売が大きく貢献している。ユーロモニターの見積もりでは、昨年だけで中国国内の白酒売上高は約1670億ドルに上る。一方で中国国外の白酒売上高はなおわずかで、ユーロモニターも把握していない。

捨得の海外売上高は昨年が約500万ドルだったが、向こう5―10年で1億ドルに拡大するつもりだとズー氏は話す。そのためにTikTok(ティックトック)などのプラットフォーム活用や、欧米のインフルエンサーの協力、そして最終的にはオリンピックなどの大規模スポーツイベントのスポンサー企業になることを計画しているという。

ニューヨークのあるバーでは、少量の白酒とピムズ、シラーを織り交ぜたカクテル「ベリー・ミーNYC」を21ドルで楽しむことができる。マネジャーのパトリック・スミス氏は、白酒には「際立った良い香り」という特徴があると指摘。このカクテルは最近メニューに加わったばかりだが、その前身バージョンは人気ランキングで中位につけており、飲んだ人はその風味に興味をそそられると語った。

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