最新記事

ウクライナ情勢

兵士が「今日は犬を食べた」「兵站能力なし」と嘆くロシアの食糧不足が深刻化

Russian Soldiers Are Eating Dogs In Ukraine: 'Today We Ate A Yorkie'

2022年6月3日(金)20時24分
デーン・エネリオ
親ロシア派兵士

マリウポリの親ロシア派兵士(5月19日) Alexander Ermochenko-REUTERS

<ロシア軍は侵攻当初から深刻な物資不足に直面しているが、今も兵士たちは略奪したり犬を食べたりして空腹を紛らわせているという>

ウクライナの情報機関によれば、ウクライナに配備されたロシア軍の兵士たちは、物資不足で食べるものがなく、犬を食べて飢えをしのいでいるという。ウクライナ保安庁(SBU)は声明の中で、ロシアの占領下にある南部ヘルソンに駐留しているロシア兵が、友人へのテキストメッセージの中で犬を食べたと明かしたと述べた。

この兵士は、SBUが傍受した友人とのやり取りの中で、「最悪だよ。ウクライナ人たちにボコボコに殴られているし、食べ物がなくて犬を食べている。今日はヨーキーを食べた。ヨークシャー・テリアだ」と愚痴っていたという。またこの兵士は友人に、ロシア軍には兵站能力がなくて「単純に食料を運ぶことができず」、それが食料不足を招いているのだと説明していた。

ロシアは2月24日にウクライナ侵攻を開始したが、戦闘開始当初から、軍は物資不足の状態にあったと報じられている。

SBUによれば、ロシア軍の兵士たちが「携行保存食(MRE)」ではなく犬を食べるようになったのは、MREにはもう「うんざり」だからだという。

侵攻当初には、「腹を空かせた」ロシア軍の兵士たちが(ウクライナの)食料品店で略奪をする様子がカメラに捉えられた。食料の「国有化」を主張して、ウクライナの農場から食料を奪った者もいた。またウクライナの複数の村で、ロシア兵が住民に食べ物をくれと懇願したとも報じられている。

制裁でロシアの物流が壊滅的な状態に

ロシアのビタリー・サベリエフ運輸相は、西側諸国による制裁によって、ロシアの貿易・物流は「事実上、破壊された」と明らかにした。「ロシア連邦に科されている各種制裁は、ロシア国内のすべての物流を事実上、破壊しており、我々は新たな物流ルートを探さなければならない事態に直面している」と彼は述べた。

また各国による対ロシア制裁で、世界の三大海運会社であるMSC、マースクとCMA CGMはいずれも、ロシア発着貨物の引き受けを停止している。

ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官は5月25日、国際社会による制裁の解除と引き換えにウクライナの港の封鎖を解除し、諸外国の船舶が通過できるようにする用意があると述べた。

イギリスはこれを受けて、ロシア政府が「飢えを武器として利用」し、「国際社会から身代金を取ろうと」していると非難。「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が国際社会から身代金を取ろうとし、世界中の貧しい人々の飢えや食糧不足を武器として利用しようとしていることは、本当に恐ろしいことだ」とリズ・トラス外相は述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタのHV、需要急増で世界的に供給逼迫 納期が長

ビジネス

アングル:トランプ関税発表に身構える市場、不確実性

ビジネス

GPIF、25年度以降も資産構成割合維持 国内外株

ビジネス

欧州自らが未来を適切に管理する必要、トランプ関税巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中