強引に泊まり込んで性的虐待...中国「ゼロ・ウイグル政策」は習近平の指示だった
The Decisive Evidence
中国のウイグル弾圧に抗議する活動家(インドネシア、2022年1月) Willy Kurniawan-Reuters
<新疆ウイグル自治区当局から流出したファイルが、ついに明らかにした中国共産党による弾圧の実態と習近平の指示>
大量の顔写真や公文書、演説原稿、収容者名簿──。中国当局のデータベースから流出し、米英独のメディアや国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によって公表された一連の文書は、中国共産党がウイグル人のアイデンティティーと文化を徹底的に消し去ろうとしていることを改めて明らかにした。
なかでも注目されるのは、新疆ウイグル自治区を視察した趙克志(チャオ・コーチー)公安相が2018年6月に行ったとみられるスピーチの原稿だ。「機密文書、要返却」というスタンプが押された文書は、中国共産党の思考と姿勢、そしてウイグル人をはじめとするテュルク系民族に対する抑圧措置の理論的根拠を示している。
それと同じくらい重要なのは、趙がこのスピーチの中で、残酷なウイグル人抑圧政策を先導しているのは、習近平(シー・チンピン)国家主席であることに、繰り返し言及していることだ。なにしろ全13ページにわたるスピーチ原稿で「習(共産党)総書記」や「習近平同志」など、習の名前は14回も出てくる。
趙はスピーチの冒頭から、100万人とも言われるウイグル人を裁判もなく拘束する措置は、習の指示に基づいていることを明確にする。「今回の新疆調査研究訪問は、習近平総書記と李克強(リー・コーチアン)首相の承認を得たものであり、習近平同志ら党中央の核心における新疆工作への高度な重視と関心と支持を十分反映している」というのだ。
政策発案者が習近平であることを明言
さらに、「本調査研究の目的は、1月6日に習近平総書記が出した新疆統治戦略と重要指示を実行し、テロとの戦いをさらに深め、新疆の対テロ治安工作の好ましい経験と実践を総括・学習することであり、収容所の管理と、新疆生産建設兵団の南方への発展についての調査研究に重点を置く」としている。
「収容所の管理」という表現に注目してほしい。趙は、約100万人が拘束された措置や政策の最大の考案者が習近平であることを明言している。権力の頂点にいる習の明確な承認がなければ、一閣僚がこんなことを言うはずはない。
中国共産党の幹部であるだけに、趙のスピーチのテーマは安定だ。新疆ウイグル自治区で取られている残酷な措置の最大の目的も、社会と政治の安定とされる。そして反体制派を徹底的につぶす作戦において、10の「よくできた点」があったと報告している。