元大統領の長男ボンボン・マルコスが当確 比大統領選、対立候補支持者のデモで混乱も
フィリピンは中国の進める経済圏構想「一帯一路」政策に基づく多額の経済支援、インフラ投資に頼る状態が続いており、中国依存の姿勢は変わらないものとみられている。
早くも抗議運動、デモ
選管の正式な投票結果発表はまだだが、ボンボン・マルコス候補の圧倒的優勢が伝えられるとマニラ首都圏マンダルーヨン市にあるマルコス、ドゥテルテ両候補者の選挙本部周辺では支持者が町に繰り出し、「勝利」を喜ぶ歓喜の姿が目立っている。
一方ではマニラ市イントラムロスにある選管の前では「正式集計の早期発表」を求める反マルコス派の抗議運動が始まり、デモ隊が警察部隊と対峙する緊張状態となっている。
こうした事態に対して強硬手段をとることは治安当局やボンボン・マルコス陣営にとってマルコス元大統領の「暗黒時代」の復活ととらえられる可能性があり、慎重な対処が求められている。
今後選管による早期の正式な開票結果がでるものとみられるが、ボンボン・マルコス候補者、レニー・ロブレド候補者のいずれが正式な次期大統領に選出されても「選挙の不正」などを訴えて、両陣営が「勝利」や「正当性」巡って衝突、論争がしばらくは続くとの見方が有力だ。
なお大統領選に立候補していた6階級制覇の世界的プロボクサーであるマニー・パッキャオ候補は期待していた貧民層の支持が思うように伸びず、敗退が確実となっている。
[執筆者]
大塚智彦(フリージャーナリスト)
1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など