最新記事

サル痘

ベルギーのサル痘感染者3人はゲイ男性向けのイベントに参加していた

Monkeypox Cases in Belgium May Be Linked to Fetish Festival: Organizers

2022年5月23日(月)16時14分
ジェイク・トーマス

サル痘にかかったリベリアの少女(1971) CDC/Wikimedia Commons

<これまでは主としてアフリカで発生していたサル痘が欧米で急に増えているのはなぜなのか>

ベルギーの公衆衛生当局が5月初旬に北部の都市アントワープで開催されたイベントで参加者のうち3人がサル痘に感染したことを発表したの受けて、イベント主催者は、参加者に対してサル痘感染の可能性について注意を呼びかけた。

「ダークランド・フェスティバル」と呼ばれるこのイベントは、ゲイ男性向けの4日間の祭りで、昼間のフェスティバルと夜のパーティー、そして啓蒙と特選グッズの物販などが9日までに行われた。

ヨーロッパでは珍しいサル痘ウイルスの患者をベルギー公衆衛生当局が確認したのは5月19日。ダークランド・フェスティバル側は即日、ウェブサイトに告知した。サル痘は中央・西アフリカの熱帯雨林でよく見られるウイルス性の感染症だが、このところ欧州で患者の報告が相次ぎ、専門家は感染拡大の懸念を強めている。

「最近、いくつかの国でサル痘の症例が報告されていることから、海外からの参加者がフェスティバルにウイルスを持ち込んだと考えらえる」と、フェスティバルの主催者はウェブサイトで述べた。

同サイトの告知によれば、公衆衛生当局からは他人との密接な接触があった後、3週間は異常な水疱に注意するようイベント参加者に注意を促してほしいという要請があったという。

欧州初の流行

ベルギーのフランク・バンデンブルック保健大臣は、19日に国内でサル痘の感染が3例確認されたことを発表。これまでイギリス、ポルトガル、スペインで感染が報告されており、患者のほとんどが男性と性的接触を持つ男性であることから、患者数を注意深く見守っていると述べた。

ただし「一般市民への感染リスクは低い」と、バンデンブルックは付け加えた。

イタリアの経営技術者アントニオ・カラミアが作成した概要一覧によれば、サル痘の非流行地域の国で確認された患者は現在のところ合計76人、疑わしい患者は65人にのぼる。

この一覧によれば、最近の症例のほとんどがヨーロッパ、特にスペインとポルトガルで発生していることがわかる。ヨーロッパでこれほど多くの感染者が出たのは初めてだ。アメリカでは2人の感染が確認されている。

世界保健機関(WHO)は19日の声明で、「11カ国で報告されている最近のサル痘症例は、これまで流行したことがない国々で発生しており、異常な状態だ」としている。

今回のサル痘の流行では、1300人以上の感染疑い例と58人の死亡例が報告されている。5月初めまで、新規感染者の大半はコンゴ民主共和国に集中していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏支持率2期目で最低の43%、関税や情報管

ワールド

日本の相互関税24%、トランプ氏コメに言及 安倍元

ビジネス

米自動車関税、6000億ドル相当が対象 全てのコン

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米相互関税発表受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中