マレーシア、ミャンマー民主勢力と接触 世界の関心がウクライナに移り関係者に苛立ちも
3月15日に撮影されたモンユワ県チャウンウー郡の衛星写真。今もなお激しい戦闘が続いていることを示している。 REUTERS
<今もなお軍政と民主化勢力が戦闘を繰り広げるなか、自体打開の動きも>
マレーシア政府がミャンマーの反政府民主政権と接触していたことが明らかになった。ミャンマーでは2021年2月1日のクーデター以降、実権を掌握した軍政が、民主派組織や少数民族武装勢力との激しい戦闘を繰り広げ、実質的な内戦状態にある。
域内の安全保障問題としてミャンマーもメンバーである東南アジア諸国連合(ASEAN)が人道的見地から仲介に乗り出しており、今年のASEAN議長国であるカンボジアが何度かミャンマーを訪問して事態打開の道を探った。
しかしミン・アウン・フライン国軍司令官など軍政関係者との面会、会談に終始して、身柄を拘束されているアウン・サン・スー・チー氏をはじめとする民主政権幹部らとの面会は実現していない。
2021年4月24日にインドネシアが主導して同国ジャカルタで開催されたASEAN臨時首脳会議ではミン・アウン・フライン国軍司令官も出席して対面の会議で「5項目の議長声明」で合意した。
この合意の中には「武力行使の即時停止」や「ASEAN特使を受け入れ、関係者全員との面会」が盛り込まれている。しかし議長声明に合意したミャンマー軍政はこれまで「武力行使停止」は武装組織による攻撃が続いているとの理由で実現しておらず、「ASEAN特使を受け入れ、関係者全員との面会」についても公判中の容疑者との面会を許す国家などない、との理由で拒絶しており、仲介工作は頓挫しているのが実情だ。
業を煮やしたマレーシアが動く
議長国でアセアン特使でもあるカンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相はこれまで複数回ミャンマー軍政と協議しているが3月の訪問でも軍政関係者と穏健派少数政党関係者以外との面会は実現できていない。
こうした行き詰った状況に動いたのがマレーシアだ。マレーシアはミャンマー軍政に対してはインドネシアやシンガポールなどとともに強硬姿勢を貫いており、親中路線でミャンマー軍政に強い姿勢をとれないカンボジアのASEAN議長国としての動きの鈍さに業を煮やしたものとみられる。
マレーシアのサイフディン・アブドラ外相は4月24日にツイッターで「非公式にミャンマーの反軍政民主政府である国民統一政府(NUG)関係者と面会したことがある」として、ASEAN外相として初めてスー・チー氏らが関係する組織の関係者と面会していたことを明らかにしたのだ。