北朝鮮、弾道ミサイル失敗は自国開発進む証拠?
失敗に終わったとみられる北朝鮮による3月16日のミサイル発射が、同国の計画に長期的な打撃を及ぼすかどうかは定かでない。写真は2月、ソウル市内のモニターで、北朝鮮によるミサイル発射のニュースを見る人々(2022年 ロイター/Yonhap)
失敗に終わったとみられる北朝鮮による16日のミサイル発射が、同国の計画に長期的な打撃を及ぼすかどうかは定かでない。しかし失敗もミサイル開発計画の重要な一部であり、北朝鮮の場合には往々にして、自力で設計する技術が進んでいる兆候だとアナリストは指摘している。
韓国軍によると、北朝鮮が発射実験を行ったのは弾道ミサイルと推定され、平壌近郊の国際空港から16日朝に発射されて間もなく、空中で爆発した。北朝鮮はコメントしておらず、各種報道を公に認めていない。
失敗は北朝鮮にとって苦々しい挫折であり、破片が落ちる場所にいる人々にとっては危険をはらむ。しかしアナリストは、ミサイル技術者はしばしば成功例と同じくらい失敗例からも多くを学ぶと話す。また、弾道ミサイルと核兵器の開発抑止に向けた国際努力が行き詰まっている間に、北朝鮮が開発を進めていることが今回の実験でさらに明確になったという。
米カーネギー国際平和基金のシニアフェロー、アンキット・パンダ氏は「ミサイル発射に失敗したからといって、彼らがこの実験から学ばないわけではない。失敗も、能力向上のための有用なデータ群になり得る」と話した。
米国と韓国の高官らは、北朝鮮が2017年以来、完全な規模での大陸間弾道ミサイル(ICBM)実験に向けた準備を進めている可能性を指摘してきた。今回の国際空港にはICBM関連施設とみられる建造物が建設されたため、実験再開の場合にはここが中心地となる可能性がある。
米スタンフォード大学・国際安全保障協力センター(CISAC)のメリッサ・ハンハム氏によると、北朝鮮はこの種のミサイルを開発した多くの諸外国に比べ、知られている限りでは実験の失敗率が著しく低い。
実験を繰り返した17年に、中距離弾道ミサイル「火星12」が人口密度の高い地域の上空で爆発したのが目立った失敗例だ。
「率直に言って、もっと多くの失敗が起こらないことに今でも驚いている」とハンハム氏は言う。