オミクロン後に起きること...本当にこれで「コロナ危機」は終わりなのか?
THE FOREVER VIRUS
新型コロナウイルスは、はしかのように子供のときにワクチンを接種すれば一生免疫がつくタイプではなく、成人したときに重症化しにくいウイルスである可能性が高い。インフルエンザウイルスのように、毎年新しい変異株に対するワクチン接種が必要なウイルスの可能性もある。
その一方で、新型コロナウイルスが既存のウイルスと同じように振る舞う保証はない。英政府の諮問委員会は、昨年7月末の報告書で、新型コロナウイルスが別のコロナウイルスと再結合して、既存のワクチンや抗ウイルス治療が効かない極めて致死性の高い変異株を生み出す「現実的な可能性」を指摘した。
ワクチンと聞くと、たいていの人は副反応の(ちっぽけな)リスクと、感染する(ずっと大きな)リスクを思い浮かべて、接種するかどうか悩む。そこで忘れられがちなのは、野放し状態にある破壊的なウイルスのグローバルな封じ込めの重要性だ。
もっと危険な変異株が登場する?
実際のところ、新型コロナウイルスが今後どのような進化を遂げるのかを考えるとき、ワクチン接種が世界全体でどのくらい進んでいるかは、決定的に重要な影響を与える。
ウイルスは人から人へと感染して、何十億人もの宿主で自己複製と突然変異を繰り返す期間が長いほど、いわば遺伝子の宝くじに当たって、毒性の強い変異株が生まれる確率が高まる。だから多くの専門家や公衆衛生当局者は、まだシャンパンの栓を開ける気にはなれないのだ。
「ウイルスが広がるほど、自己複製と突然変異を繰り返して変異株が増えることを、われわれは知っている」と、ニューヨーク大学医学大学院のセリーヌ・ガウンダー助教は語る。「オミクロン株の大流行後は、新型コロナはエンデミックになるとか、私たちは集団免疫を獲得して、新型コロナは普通の風邪になるとかいった結論に飛び付くことはできない」と、ガウンダーは語る。「まだそんなことは分からないと思う」
感染症の専門家であるガウンダーは、ジョー・バイデン米大統領が政権発足前に立ち上げた新型コロナ諮問委員会のメンバーを務めたが、そのときの同僚5人がバイデン政権に対して、新型コロナウイルスとの戦いで「優位に立つ」と約束するのをやめて、「ウィズコロナ」に基づく長期的な計画を策定するべきだという公開書簡を送ったという。
「(政権は)次が最後のピークで、その後は先へ進めると言い続けている」と、ガウンダーは話す。「本当は、私たちは共存していくと言うべきなのだ。そして言葉どおりに行動し、長期的計画を策定しなければならない」