オミクロン後に起きること...本当にこれで「コロナ危機」は終わりなのか?
THE FOREVER VIRUS
元諮問委員会メンバーはバイデン政権に、新型コロナ対策の見直しを呼び掛けている。高性能のN-95微粒子用マスクの無料提供や検査に力を入れ、ワクチン依存を減らすべきだと言う。「もちろん、対策は一にも二にもワクチンだ。しかしアメリカでは接種率が頭打ちになっており、ワクチンだけでは対処できない」と、ガウンダーは指摘する。
公衆衛生制度の抜本的再編も提案の1つだ。危機発生時に市民とつながる医療従事者チームの創設を呼び掛け、現在流行中のウイルスだけでなく、さまざまな呼吸器疾患に効果的なワクチンを推奨している。さらに、学校などの公共施設の暖房や空調を刷新して換気システムを改善すれば、大きな変化が期待できる。
定期的なワクチン接種も長く必要に
何より必要なのは何年も先を見越した計画だという。新型コロナは終わりには程遠く、たった1つの遺伝子変異がたちまち新たなパンデミックを引き起こしかねない。
「人々が教訓を学ぶことを心から願っている」と、ガウンダーは言う。「私たちが提言を行っているのは、さもなければ何が起きるか、率直に言って不安でならないからだ」
公衆衛生専門家からも、アウトブレイク発生を迅速に知らせる、より現代的な通報システムを求める声が上がっている。検査キットはもっと簡単に使えて、はるかに容易に入手できるようになるべきだ。多くの人にとって疎ましい事態かもしれないが、定期的なワクチン接種も、これから長い間必要になるだろう。
確かに、こうした対策にはカネがかかる。しかし米議会予算局によれば、新型コロナのパンデミックの打撃は大きく、既にアメリカのGDPは30年までに8兆ドル縮小する見込みだ。
自国以外にもっと目配りすべきだとの指摘もある。人道的理由だけでなく、自己防衛の手段になるからだ。
ベイラー医科大学付属テキサス・チルドレンズ病院の専門家チームは特許フリーのワクチン「コルベバックス」を開発し、インドの製薬会社に提供を始めた。
コルベバックスは80年代の医療技術に基づき、米国内で使用中のワクチンほど高度ではないが、はるかに安価だ。1回分の価格はおそらく1~2ドルほど。開発資金は寄付で賄われた。特にインド以外の途上国でも利用されるようになれば「世界的な大革新」になると、開発責任者の1人であるベイラー医科大学のピーター・ホッテズ教授は語っている。