オミクロン後に起きること...本当にこれで「コロナ危機」は終わりなのか?
THE FOREVER VIRUS
ニューヨークの街角で新型コロナ検査の順番を待つ市民 ANDREW KELLYーREUTERS
<新型コロナウイルスは弱毒化して共存できるという見方もあるが、新たな変異によって危機再来の可能性も。必要なのは長期戦への覚悟と準備>
世界中で猛威を振るうオミクロン株の波は、既にピークを打ったのかもしれない。米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)のコンピューターモデルでは、アメリカで毎日報告される新規陽性者数は1月19日までに最大値の120万人に達し、その後減少に転じると予測されていた。実際、アメリカは南アフリカと同様のパターンをたどり、その後は急激に減少した。
オミクロンの大流行が新型コロナウイルスのパンデミックの終わりの始まりとなる可能性はある。ただし、必ずそうなるとは言い切れない。
楽観的シナリオは次のようなものだ。オミクロンが世界を席巻した後、十分な数の人々が自然免疫を獲得する。ワクチン接種済みの人々も考え合わせれば、その後の感染は恒常的に低いレベルに抑えられる。その日が到来すれば、世界は絶え間ない危機の連続から、もっと制御しやすい状態に移行し始める。このレベルの感染でも研究者や公衆衛生担当者は大忙しだが、残りの人々は普段どおりの日常に戻ることができる。
一方、こんな悲観的なシナリオが実現する可能性もある。まず、新型コロナウイルスの新たな予期せぬ変異株が生じ、私たちの希望を打ち砕くというおなじみの悪夢が再現される。オミクロンは沈静化するものの、別の厄介な変異株に取って代わられるだけで、さらに多くの患者と死者を出しながらパンデミックは拡大し続ける。
原因ウイルスは何世代も居座り続ける
近い将来にどちらのシナリオが現実になるかを断言するのは、まだ時期尚早だ。おそらく事後に振り返ってみて初めて分かるのだろう。ただし、1つだけほぼ確実なことがある。新型コロナの原因ウイルス(SARSCoV-2)はなくならないということだ。今後何世代にもわたり居座り続けるだろうと、大半の専門家は口をそろえる。
たとえパンデミックが収束しても、「ウィズコロナ」の未来がどんなものになるかは分からない。新型コロナウイルスは普通の風邪のような害の少ないものになるのか。それとも、インフルエンザのように私たちを悩ませ続け、毎年の予防接種と次の大流行への警戒が必要になるのか。
あるいはまた、これまでの常識を完全に覆し、新たな恐怖をもたらすのか。専門家は米バイデン政権に対し、「ウィズコロナ」を念頭に置いた長期的対策を求めている。
一方で、現在のパンデミックもまだ終わったわけではない。オミクロンの被害が広がる余地は十分に残されている。WHO(世界保健機関)によると、感染者数は昨年12月末の時点で110カ国に拡大した。