ロシアのウクライナ侵攻3週目 キエフ包囲へ軍再編、ベラルーシからの攻撃も懸念
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ロシアがウクライナ侵攻を開始して3週間目に入った11日、ロシア軍が首都キエフの包囲に向け軍を再編し、各地で砲撃を続けている。写真はウクライナ東部ドネツク州ボルノバハで、親ロシア派部隊のメンバー(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)
ロシアがウクライナ侵攻を開始して3週間目に入った11日、ロシア軍が首都キエフの包囲に向け軍を再編し、各地で砲撃を続けている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争で「戦略的な転換点」を迎えたと表明した。ロシアがウクライナ空域からベラルーシを空襲し、ベラルーシを紛争に巻き込もうと画策しているとの懸念も出ている。
ベラルーシからの攻撃懸念
この日はベラルーシのルカシェンコ大統領がロシアのプーチン大統領と会談。プーチン大統領は、西側の制裁がロシアの発展を妨げることはなく、ロシアは最終的に強くなると指摘。ウクライナとの交渉は実質的に毎日行われているとし、「交渉担当者からの報告では一定の前向きな変化がある」と述べた。
一方、ウクライナはロシアがウクライナ空域からベラルーシを空襲し、ベラルーシを紛争に巻き込もうと画策していると非難。ベラルーシがウクライナに侵攻することを計画している可能性があると明らかにした。
ゼレンスキー大統領は毎日行っているテレビ演説で「ウクライナの領土が解放されるまであと何日かかるのか言うことはできないが、解放を実現すると言うことは可能だ。なぜなら、われわれはすでに戦略的な転換点を迎えているからだ」と指摘。ロシアが徴集兵や予備兵、シリアの傭兵を使って侵攻軍をてこ入れしていると非難した。
こうした中、ロシア軍の攻撃は続き、ウクライナによると東部ハリコフ州イジューム近郊の精神病院が攻撃を受けた。患者と職員はシェルターに避難していたため負傷者は出ていないが、ハリコフ州のシネグボフ知事は「民間人に対する戦争犯罪」に当たるとし、ロシア軍がウクライナで「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を行っていると改めて非難した。
南東部マリウポリでは侵攻以来、ロシア軍の攻撃で少なくとも1582人の市民が死亡。ロシア国防省がマリウポリをほぼ完全に包囲したと表明する中、ウクライナ当局はロシア軍が市民の避難を意図的に阻害していると非難。ウクライナ内務省のアドバイザー、バディム・デニセンコ氏は「危機的な状況になっている」と述べた。
この日は攻撃はウクライナ中部にも及び、ドニプロ市で幼稚園や集合住宅の近くで3回の空爆があり、少なくとも1人が死亡した。
西側は制裁強化
米国のバイデン米統領は、主要7カ国(G7)と協調し、世界貿易機関(WTO)ルールに基づくロシアの「最恵国待遇」を撤回すると表明。ロシアへの「新たな強烈な一打」になるとし、ロシアのプーチン大統領は「代償を払うことになる」と述べた。
米国はロシアからのウォッカや魚介類、ダイヤモンドの輸入も禁止するほか、ロシアとベラルーシへの高級品(高級時計や自動車、宝飾品などの輸出を禁止する。