プーチンがウクライナに軍派遣命令 演説で歪んだ歴史認識と怨みを吐露
Putin Orders Russian Troops Into Ukraine’s Breakaway Provinces
欧州連合(EU)はプーチンの演説を受けてすぐに、「この違法行為に関与した者たち」に制裁を科すと表明。イギリスのボリス・ジョンソン首相は演説を、危機の悪化を示す「きわめて不吉で暗い兆候だ」と述べた。バイデンは、問題の2つの地域について、アメリカ人による新たな投資や資金提供を禁じる大統領令に署名。複数の米当局者は、22日にもさらなる制裁の発表があるだろうと示唆した。
だが米政府の高官は、プーチンによるドンバスへの派兵が、すぐにアメリカとヨーロッパによる追加制裁の発動につながることはないとの見方を示した。
追加制裁となれば、ヨーロッパ諸国はロシアの銀行やエネルギー部門を標的にする見通しだが、ドンバス地方では8年前から紛争が続いており、「その間ずっとロシア軍の部隊が現地に駐留してきた」と、この高官は言う。「彼らが今後どうするのか、慎重に見ていくつもりだ」と続けた。ロシアがこれら2つの地域を越えた先まで軍を進めて初めて、バイデン政権が示唆した大規模な制裁が発動されるだろうとこの人物は指摘した。
緊張の高まりを示すもう一つの兆候として、アメリカはロシアの反体制派や活動家、さらにロシアが殺害や収容の標的とするウクライナ国内の反体制派に対して、警告を発している、とこの高官は述べた。フォーリン・ポリシー誌は18日に、ロシアがウクライナのさらに奥まで入った場合の標的リストに関する情報を、アメリカが入手したと報じた。
長年の不満をぶちまけたプーチン
プーチンは演説の中で、ウクライナに対する攻撃的な姿勢を撤回する考えはないことを示し、冷戦の幕開けや何世紀も前のロシア帝国の歴史にまで遡る、西側諸国に対する長年の不満を改めて強調した。
「ウクライナは我々が(旧ソ連時代に)彼らに与えた全てのものを無駄にしただけではなく、彼らがロシア帝国から受け継いだ遺産、なかでもウクライナを併合したエカテリーナ2がもたらしたものまで台無しにした」とプーチンは述べた。
脅しを織り交ぜた長い演説の中で、プーチンはウクライナがロシアとの歴史的なつながりを無駄にしたと厳しく非難。ウクライナがロシアに対する軍事攻撃を計画し、また核兵器を入手しようとしていると、言いがかりをつけた(ウクライナは、ソ連の崩壊と冷戦の終結を受けて核兵器を手放した数少ない国の一つ)。プーチンはまた、ウクライナが2014年で当時の親ロシア派政権に対する大規模な抗議活動が起きたとき、ロシア系住民を殺害したイスラム主義のテロ組織を支援したと主張したが、その証拠は提示しなかった。