プーチンがウクライナに軍派遣命令 演説で歪んだ歴史認識と怨みを吐露
Putin Orders Russian Troops Into Ukraine’s Breakaway Provinces
プーチンはデスクを前にして座り、ふんぞり返るような姿勢を取ったり、手振りを交えたりしながら、ウクライナ政府やNATOに対する不満を述べ立てた。アメリカがNATOの東方拡大を促してきたことへの長年の恨みや、ウクライナが独立国家であるという事実さえも容認できない考えを示した。旧ソ連を構成した複数の共和国はロシアを去るべきではなかったし、独立したウクライナなど存在すべきではないとプーチンは言った。アメリカおよびNATOから武器を提供されたウクライナは、ロシアにとって軍事的脅威になり得ると主張した。
「ウクライナが(大量破壊兵器を)入手すればすぐに、ヨーロッパの状況は大きく変わるだろう」とプーチンは述べ、アメリカがウクライナからいつでも軍事攻撃できるとつけ加えた。実際は、多くの米軍部隊は1週間以上前にウクライナから撤収しているが、プーチンは「彼らは我々の首にナイフを突きつけている」と主張。「我々としては対応を取らざるを得ない」と述べた。
現在のウクライナは「アメリカの植民地と化している」
またプーチンは、現在のウクライナは「西側の傀儡(かいらい)政権が動かす植民地」だと述べ、西側諸国がウクライナの政治に介入していると非難。また8年前に選挙で選ばれた親欧派のウクライナの指導者たちが、過去にテロ組織を組織したと述べ、「我々は彼らの名前を知っており、あらゆる手を尽くして彼らを罰するつもりだ」とつけ加えた。フォーリン・ポリシーは以前、ロシアがウクライナ占領後に殺害または収容を計画している親欧米派の政治家や反体制派、ジャーナリストのリストを作成したという情報を、アメリカが入手したと報じている。
プーチンの軍派遣命令は、西側首脳による外交努力を大きく後退させるものだ。バイデンは、フランスのマクロン大統領の仲介でプーチンと会談することに「原則的に」合意したばかりだった。この合意は反故になるのか、米政府はまだ発表していない。米政権高官は、いずれにせよ今後も外交努力は続くだろう、と語った。
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