運用が延長された国際宇宙ステーション、2031年1月、ここに落下させる
ISS(国際宇宙ステーション)は、2031年に地球に落下する...... NASA/Roscosmos/REUTERS
<バイデン政権によって国際宇宙ステーションの運用期間を2030年まで延長することとなったが、2031年に地球に落下させる計画が明らかになった>
米国のバイデン政権は、2021年12月31日、2024年までとされてきたISS(国際宇宙ステーション)の運用期間を2030年まで延長する方針を表明した。NASA(アメリカ航空宇宙局)では、この方針を受けて、2022年2月1日、「ISS移行計画」の最新版を発表し、2031年1月に南太平洋の「ポイント・ネモ」付近でISSを落下させる計画を明らかにした。
商用宇宙ステーションへ移行する計画
ISSは、NASA、欧州宇宙機関(ESA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、カナダ宇宙庁(CSA)、ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスによって共同で運用されている。2000年11月以降は宇宙飛行士が滞在し、3000件以上の調査や研究が行われ、様々な科学的・技術的成果がもたらされてきた。ロシアのサービスモジュールで見つかった空気漏れなど、ISSでの技術的な問題は現時点で修正されており、2030年までは安全に運用できる見通しだ。
「ISS移行計画」の最新版では、ISSの後継となる新たな商用宇宙ステーションへのシームレスな移行に向けた手順や予算などが取りまとめられている。NASAの商業宇宙飛行担当ディレクターを務めるフィル・マカリスター氏は「民間セクターは技術的にも財政的にも、NASAの支援を受けながら、地球低軌道での商用宇宙ステーションを開発・運用できる」との見方を示す。
ISS 2030: NASA Extends Operations of the International Space Station
NASAでは、商用宇宙ステーションへの移行によって2031年に約13億ドル(約1495億円)を節約でき、2033年までにはその規模が18億ドル(約2070億円)まで増えると見込んでおり、深宇宙探査などにこれらを充てていく方針だ。
NASAでは、2021年12月3日に商用宇宙ステーションの設計・開発に向けて、ブルーオリジン、ナノラックス、ノースロップ・グラマンの米航空宇宙企業3社と協定を締結した。合わせて4億1560万ドル(約478億円)の資金を供与する見込みだ。また、2020年1月には、ISSに接続する商用モジュールのサプライヤーとしてスタートアップ企業のアクシオン・スペースを選定している。