最新記事

ISS

運用が延長された国際宇宙ステーション、2031年1月、ここに落下させる  

2022年2月7日(月)17時55分
松岡由希子

ISS(国際宇宙ステーション)は、2031年に地球に落下する...... NASA/Roscosmos/REUTERS

<バイデン政権によって国際宇宙ステーションの運用期間を2030年まで延長することとなったが、2031年に地球に落下させる計画が明らかになった>

米国のバイデン政権は、2021年12月31日、2024年までとされてきたISS(国際宇宙ステーション)の運用期間を2030年まで延長する方針を表明した。NASA(アメリカ航空宇宙局)では、この方針を受けて、2022年2月1日、「ISS移行計画」の最新版を発表し、2031年1月に南太平洋の「ポイント・ネモ」付近でISSを落下させる計画を明らかにした。

商用宇宙ステーションへ移行する計画

ISSは、NASA、欧州宇宙機関(ESA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、カナダ宇宙庁(CSA)、ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスによって共同で運用されている。2000年11月以降は宇宙飛行士が滞在し、3000件以上の調査や研究が行われ、様々な科学的・技術的成果がもたらされてきた。ロシアのサービスモジュールで見つかった空気漏れなど、ISSでの技術的な問題は現時点で修正されており、2030年までは安全に運用できる見通しだ。

「ISS移行計画」の最新版では、ISSの後継となる新たな商用宇宙ステーションへのシームレスな移行に向けた手順や予算などが取りまとめられている。NASAの商業宇宙飛行担当ディレクターを務めるフィル・マカリスター氏は「民間セクターは技術的にも財政的にも、NASAの支援を受けながら、地球低軌道での商用宇宙ステーションを開発・運用できる」との見方を示す。

ISS 2030: NASA Extends Operations of the International Space Station


NASAでは、商用宇宙ステーションへの移行によって2031年に約13億ドル(約1495億円)を節約でき、2033年までにはその規模が18億ドル(約2070億円)まで増えると見込んでおり、深宇宙探査などにこれらを充てていく方針だ。

NASAでは、2021年12月3日に商用宇宙ステーションの設計・開発に向けて、ブルーオリジン、ナノラックス、ノースロップ・グラマンの米航空宇宙企業3社と協定を締結した。合わせて4億1560万ドル(約478億円)の資金を供与する見込みだ。また、2020年1月には、ISSに接続する商用モジュールのサプライヤーとしてスタートアップ企業のアクシオン・スペースを選定している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中