クーデターから1年のミャンマー 緊張の中に静寂、早朝にゲリラデモも
抵抗のシンボルの3本指を掲げるミャンマー市民 REUTERS
<あの日から1年、多くの商店が営業し往来には自動車も行き交っているが、この日常はフェイクだ>
軍によるクーデターから2月1日に1年を迎えたミャンマーは軍政に抵抗する民主勢力が呼びかけた「沈黙のストライキ」により、静かな1日を迎えた。
中心都市ヤンゴンの繁華街では約80%の商店が店を開けていたものの訪れる客はほとんどなく、店員が時間を持て余している姿があちらこちらで見られた、とヤンゴン在住のジャーナリストは伝えてきた。
反軍政の立場をとるメディア関係者への摘発、拷問、弾圧を逃れるため地下に潜伏しているこのジャーナリストは、1日午前10時過ぎから正午頃まで、ヤンゴンのダウンタウンを中心に治安当局を警戒しながら回ってみたという。
世界人権デーにちなみ12月10日に行われた「沈黙のストライキ」の際にはほとんど車両が走っていなかったが、クーデターから1年となった2月1日は約10倍の車両が路上を走っていたという。
軍の摘発を恐れて商店は開店
また、ヤンゴン市内のダウンタウンでは食堂などの商店が約80%店を開けていたという。これは12月10日の際に商店はほとんどがシャッターを下ろして閉店していたことと比べると大きな違いを感じたという。
反軍政の民主派は2月1日を前にSNSなどを通じて、「沈黙のストライキ」で同日午前10時から午後4時までの間、仕事を休み自宅などに留まることで社会活動をマヒさせることを訴えた。
これに対して軍や警察の治安当局は「ストライキ」に同調する市民に対しては厳しい姿勢で臨むことを表明。同調者に対しては「テロ法」などの容疑による逮捕もありうるとしていた。
こうした治安当局の強硬姿勢に恐れをなした商店主たちが1日午前から店を開けて「ストライキ」不参加の立場を示したものとみられているという。もっとも現地を見た前述のジャーナリストによると、開いている商店や食堂も訪れる客はほとんどなく「開店休業」の状態が続いていたという。
そうした店では店員が無表情で暇そうにしているか、店員同士や近所の市民とひそひそ話しをしていたという。
治安当局は市内を頻繁にパトロール
こうした状況のヤンゴン中心部では兵士や警察官を乗せた治安当局の車両が頻繁に市内をパトロールする様子が見られ、軍政が反軍政の市民の動きを極度に警戒している様子がみてとれたとしている。