最新記事

アメリカ社会

選管担当者への恐喝、「言論の自由」が壁に トランプ派の脅迫に法改正で対応へ

2022年1月31日(月)17時05分

KKKでも言論の自由を保証

バーモント州議会では数年前、犯罪的脅迫の訴追を容易にする州法改正が試みられたが、言論の自由を侵害する可能性があるという懸念により廃案となった。だがこの州も他の州と同様に、暴力的な反政府感情、白人ナショナリズム、政治的過激主義に対処する中で、言論の自由という伝統をめぐる緊張が生じている。

バーモント州最高裁判所は2018年、2件の平穏妨害事件について、クー・クラックス・クラン(KKK)構成員を逆転無罪とした。被告は、KKK支持のビラを2人の女性(黒人とヒスパニック系)の車に貼り付けていた。同州最高裁は、ビラはバーモント州法下において保護される言論であると判示した。

さらに昨年、バーモント州ベニントン町は、黒人であるキアー・モリス州議会議員が自称白人ナショナリストから受けた人種差別的ハラスメントに警察が十分に対応しなかったことを謝罪し、13万7500ドル(約1575万円)を支払った。同議員は2018年、議員を辞職している。

これまでのところ、犯罪的な脅迫行為に関する立法措置への世論の反対は目立たない。だが提案者側では、公聴会が始まれば状況が変わると予想している。米国自由人権協会バーモント州支部は「法案を注視している」と述べたものの、まだ賛否を明らかにしていない。

州議会法務委員会の委員長を務めるバーモント州のリチャード・シアーズ州上院議員(民主党)は、法案に関する公聴会を今月開催しようと計画している。法案のうち一つの提案者である同氏は、法案が可決されても、脅迫者が必ず収監される保証はないと語る。

「しかし、こうした改正を行わなければ、何かが変化する可能性もないと分かっている」

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援に感動の声
・コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

外債から円債にシフト継続、超長期債中心に残高増加=

ワールド

台湾は元副総統を派遣、ローマ教皇葬儀 頼総統参列実

ビジネス

インドネシア中銀、政策金利据え置き ルピア安定を重

ビジネス

アングル:中国株を「愛国買い」する個人投資家、対米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 4
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 8
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 9
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 10
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中