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外債から円債にシフト継続、超長期債中心に残高増加=太陽生命・25年度運用計画

2025年04月23日(水)19時01分

 4月23日、T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2025年度一般勘定資産運用計画で、外国債券から金利上昇に伴い投資妙味がでてきた円債へ引き続きシフトしていく方針を示した。写真は円紙幣。2022年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Mariko Sakaguchi

[東京 23日 ロイター] - T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2025年度一般勘定資産運用計画で、外国債券から金利上昇に伴い投資妙味がでてきた円債へ引き続きシフトしていく方針を示した。超長期国債や事業債を中心に円債を積み増す一方、外国債券と内外株式は残高を減少していく。

取締役常務執行役員の清友美貴氏が17日、ロイターなどに対して述べた。

<利回り上昇で円債の魅力増す>

国内債券は残高の増加を予定している。24年度は、想定通り円金利が上昇したことを背景に外債から円債へのシフトを進め、円建て資産の残高は増加した。

「ヘッジコストは以前よりも下がってきたものの、利回り対比ではヘッジ付き外債よりも円債の方が魅力的に映る」(清友氏)。国債投資は、20年債など超長期債が中心だ。足元の新発20年債利回りは2%を超えて推移し、同社の負債コストを上回る水準となったことから、より買いやすくなった。10年ゾーンを中心とした事業債の残高の積み増しに伴い、期間のマッチングなど状況に応じて20年債以外の年限の選択肢もある。

また日銀の利上げに伴う金利上昇で減損リスクへの懸念から、低金利時代に購入した国債の入れ替えを一定程度進め、ポートフォリオを改善していく。

今年度の日本国債10年債利回りのレンジは0.80―1.80%と想定。日銀の金融政策については、今秋にあと1回の追加利上げを想定しており、「年初から見られた金利上昇の勢いは落ち着いてくる」(清友氏)として、26年3月末時点は1.40%を予想している。

足元で金利上昇が目立った超長期債についても落ち着いてくるとし、年度末時点で20年債は2%、30年債は2.3%を想定。日本の財政拡張への懸念が再浮上した場合や日銀の国債買い入れの段階的な減少は金利上昇につながるものの、「景気減速などファンダメンタルズ面が金利上昇圧力を抑える」(清友氏)とみる。

<外債・内外株式の残高削減を継続>

外国債券は、ヘッジコストの高止まりを背景に残高を削減する。償還に伴う再投資については円債に振り向けていく。24年度は残高を減少した。

仮にヘッジコストが下がったとしても為替動向次第となり、外債投資に慎重な姿勢を示す。今年度のドル/円の想定レンジは130─155円で、年度末は135円を予想。日米金利差縮小に加えて「トランプ米大統領が過度な円安を望まない姿勢を示しており、(ドルが)150円を超える可能性は下がった」(清友氏)とみる。

上乗せ金利(スプレッド)が付くことで、ヘッジコストを賄える米国や欧州の事業債には引き続き投資していく。

米10年債利回りのレンジは3.0%─5.0%で、年度末は4.0%を想定。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策については年内3回程度の利下げ実施を見込んでいる。

外貨エクスポージャーは横ばいの見通しだが、市況動向に応じて機動的に対応していく。24年度は残高は若干増加した。

株式については、国内、海外ともに残高を中期的に圧縮させていく見通し。政策株からの振替銘柄を中心に削減する。24年度は内外株式の残高をいずれも減少させた。

オルタナティブは増加する見通しで、超過収益の獲得を目的に残高を拡大していく。

25年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.80―1.80%(年度末1.40%)

米10年債利回り    3.00─5.00%(同4.00%)

日経平均        29000─41000円(同38000円)

米ダウ         33000─46000ドル(同44000ドル)

ドル/円        130―155円(同135円)

ユーロ/円       145―172円(同150円)

(坂口茉莉子 編集:内田慎一)

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