米中の間で「いいとこ取り」してきた韓国が、半導体供給でついに決断を求められる
No Longer a Middle Way?
世界を牽引する韓国の半導体産業がアメリカのサプライチェーン再編成を支える SEONGJOON CHOーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<半導体の40%を中国に輸出する韓国に、「サプライチェーン」の強化と再構築を目指すアメリカが方針転換を強く迫っている>
昨年12月、ホセ・フェルナンデス米国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)が第6回米韓高官級経済協議(SED)のため首都ソウルを訪問。韓国に対し、半導体分野の「レジリエンス(回復力)のある」サプライチェーン構築に向けて、より大きな役割を果たすことを要求した。
アメリカは、特にハイテク産業で中国との戦略的競争が厳しさを増すなか、世界的なサプライチェーンの混乱や半導体不足に対処しようとしている。11月にはキャサリン・タイ米通商代表もソウル、東京、ニューデリーを訪れた。
バイデン米政権は野心的なサプライチェーンの再構築を掲げ、昨年6月の報告書で特に脆弱な4分野を指摘した。そのうち半導体、高容量バッテリー、医薬品の3分野全てでアメリカに協力できる国は、韓国だけだ。残るレアアース(希土類)を含む重要鉱物の分野は中国が主導権を握っている。
SEDで取り上げられる議題の傾向は、アメリカのグローバル政策における同盟国・韓国の重要性と、米中の競争を反映している。
2015年11月に始まった第1回SEDでは、健康安全保障、北極、海洋など「ニューフロンティア」に焦点が当てられた。中国問題が浮上したのは17年の第2回で、韓国は米中貿易摩擦の激化で自分たちに悪影響が及ばないように、アメリカに協力を求めた。
18年10月の第3回ではアメリカが韓国に対し、インド太平洋戦略でより積極的な役割を果たすことを求めた。19年11月に開催された第4回でもその問題が再確認された。
20年10月の第5回では、新型コロナウイルスのパンデミックとの戦いや経済回復といったグローバルな問題解決に韓国が参加することが主な議題となった。そして今回、アメリカは半導体サプライチェーンの再構築について韓国に協力を要請した。
デカップリングに突き進む米中を前に
こうした流れは、少なくとも米韓の重要な経済問題に関して、アメリカの政策の意図や狙いがますます明確かつ詳細になっていることを示唆している。
韓国は長年にわたり、自分たちの地政学的環境を大国間、特に米中の間の「小さな隙間」と表現してきた。しかし、ジョー・バイデン米大統領が宣言した米中の「戦略的競争」が新たな局面を迎え、技術的・財政的なデカップリング(分離)に突き進む今、韓国の戦略的選択に転機が訪れようとしているのだろうか。