米中の間で「いいとこ取り」してきた韓国が、半導体供給でついに決断を求められる
No Longer a Middle Way?
アメリカは、中国を遠ざけ対峙する必要性を強調し、多くの国にアメリカの政策に従うよう強く働き掛けている。それに対し中国は、内需拡大に舵を切り、内需と外需が促進し合う「双循環(2つの循環)」戦略を掲げている。
こうした動きを韓国は警戒する。韓国の高官は折に触れて、経済面では中国が、安全保障面ではアメリカが、自分たちにとって重要な役割を担っていると強調している。
「アジア太平洋地域のほとんどの国は安全保障でアメリカに依存しており、一方で、この20年間で劇的な経済成長を遂げてきた中国から離れることはできない。世界で約50カ国はアメリカが、約100カ国は中国が、最大の貿易相手国だ」と、韓国の呂漢辜(ヨ・ハンク)産業通商資源省通商交渉本部長は1月6日付の韓国日報で語っている。「私たちは今、大国の共存と持続可能性のモデルを模索している」
韓国貿易協会によると、昨年10月の時点で、韓国の半導体輸出の40%以上が中国向けだ。しかし、中国市場への依存が高いからこそ、韓国としては、生産や物流の拠点を分散させる日本の「チャイナプラスワン」戦略のように、中国市場にとどまりながら新しい市場も積極的に開拓することを検討せざるを得ない。
世界のサプライチェーンで重要な役割を演じるようになったASEAN市場は、日本と韓国にとって明らかにカギとなる地域となりつつあるようだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げる東南アジア戦略「新南方政策」も、ASEAN諸国との経済的・人的なつながりを繰り返し強調している。3月の大統領選挙の結果にかかわらず、ASEANは韓国の南方外交およびグローバル外交の重要な軸になるだろう。
日韓は「懸念」を共有も、協力は困難
ただし、韓国と日本はいくつかの懸念を共有し、いくつか共通の戦略を採用しているものの、中国を見据えたアメリカのサプライチェーンの再編成に沿って日韓が深く協力するという可能性は、少なくとも短期的には低いだろう。両国の政治と歴史と領土の問題が、より包括的で深い協力関係を妨げ続けている。
一方で、インドは「中国の支配を終わらせ、主要産業のサプライチェーンのハブとして台頭しようとしている」と、韓国外国語大学のラジブ・クマール教授は指摘する。
クマールはさらに、韓国の対インド投資が増えていることを踏まえて、両国が協力してサプライチェーンを再編成することによって中国の影響力に効果的に対処し、新しい「インド中心のサプライチェーン」を構築できるのではないかと提案する。