最新記事

経済戦略

米中の間で「いいとこ取り」してきた韓国が、半導体供給でついに決断を求められる

No Longer a Middle Way?

2022年1月25日(火)17時35分
ジン・カイ(広東省社会科学院准教授)

アメリカは、中国を遠ざけ対峙する必要性を強調し、多くの国にアメリカの政策に従うよう強く働き掛けている。それに対し中国は、内需拡大に舵を切り、内需と外需が促進し合う「双循環(2つの循環)」戦略を掲げている。

こうした動きを韓国は警戒する。韓国の高官は折に触れて、経済面では中国が、安全保障面ではアメリカが、自分たちにとって重要な役割を担っていると強調している。

「アジア太平洋地域のほとんどの国は安全保障でアメリカに依存しており、一方で、この20年間で劇的な経済成長を遂げてきた中国から離れることはできない。世界で約50カ国はアメリカが、約100カ国は中国が、最大の貿易相手国だ」と、韓国の呂漢辜(ヨ・ハンク)産業通商資源省通商交渉本部長は1月6日付の韓国日報で語っている。「私たちは今、大国の共存と持続可能性のモデルを模索している」

韓国貿易協会によると、昨年10月の時点で、韓国の半導体輸出の40%以上が中国向けだ。しかし、中国市場への依存が高いからこそ、韓国としては、生産や物流の拠点を分散させる日本の「チャイナプラスワン」戦略のように、中国市場にとどまりながら新しい市場も積極的に開拓することを検討せざるを得ない。

世界のサプライチェーンで重要な役割を演じるようになったASEAN市場は、日本と韓国にとって明らかにカギとなる地域となりつつあるようだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げる東南アジア戦略「新南方政策」も、ASEAN諸国との経済的・人的なつながりを繰り返し強調している。3月の大統領選挙の結果にかかわらず、ASEANは韓国の南方外交およびグローバル外交の重要な軸になるだろう。

日韓は「懸念」を共有も、協力は困難

ただし、韓国と日本はいくつかの懸念を共有し、いくつか共通の戦略を採用しているものの、中国を見据えたアメリカのサプライチェーンの再編成に沿って日韓が深く協力するという可能性は、少なくとも短期的には低いだろう。両国の政治と歴史と領土の問題が、より包括的で深い協力関係を妨げ続けている。

一方で、インドは「中国の支配を終わらせ、主要産業のサプライチェーンのハブとして台頭しようとしている」と、韓国外国語大学のラジブ・クマール教授は指摘する。

クマールはさらに、韓国の対インド投資が増えていることを踏まえて、両国が協力してサプライチェーンを再編成することによって中国の影響力に効果的に対処し、新しい「インド中心のサプライチェーン」を構築できるのではないかと提案する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英スタンチャート、25年税引き前利益が16%増 C

ビジネス

高島屋、特損計上で一転赤字予想に CB買い入れと消

ビジネス

中国、日本企業に軍民両用品の輸出禁止 三菱重や川重

ビジネス

アングル:日鉄の巨額CBが示す潮流、金利上昇と株高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    ペットとの「別れの時」をどう見極めるべきか...獣医…
  • 6
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 7
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    「高市トレード」に「トランプ関税」......相場が荒…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中