道路を渡り切れない老人は日本に300万人以上、その理由
介護で不幸にならないための3つのポイント
確かに、介護には大変そうなイメージがある。またメディアも、負の側面ばかりを強調しすぎるきらいがある。だが介助による支援は、風呂の介助、排泄の処理、食事の世話など目につきやすいものだけでなく、もっと前の段階、すなわち「日常生活に支障をきたし始めたあたりから」受けられるものだ。
にもかかわらず、マイナスの暗いイメージばかりが強調されるため、「できれば考えたくないこと」「見て見ぬ振りをしたくなるようなこと」というような歪んだイメージばかりが肥大化してしまうのかもしれない。
介護に極度な苦手意識を抱き、距離を置きたくなってしまうのも無理はないだろう。しかもそれは介護される側、すなわち親についても言える。
その証拠に、親に介護の話をした結果、「俺はまだ介護を必要とするほど衰えていない」「そんな縁起の悪い話をするな」などと反発されたというのはよく聞く話だ。そうなると子の側も、「まだ介護のことは考えなくていい」と放っておきたくなるかもしれない。
だが、そんなことを繰り返しているうち、身体機能がさらに衰えていくことも考えられる。その結果、介護による支援が遅れてしまい、家族も本人も苦労してしまう可能性だってある。
著者もその点が気になっているようだ。せっかく介護保険制度ができ、(十分ではないにせよ)国や地方自治体で支援する体制ができているにもかかわらず、支援を受けないのはもったいないと。だからこそ、介護のマイナスイメージを払拭して前向きに考え、必要な情報を入手し、介護による支援をどんどん活用してほしいのだと。
もちろん、初めての人が介護支援を受けるとなると、不安が付いて回るだろう。そこで著者は「介護で不幸にならないための3つのポイント」を挙げる。
・支援をとことん利用する。
・情報を集め、他人に任せず、本人もしくは、家族が考えて選択して行動する。
・身体機能を維持させることを第一に考える。(58ページより)
介護する家族の人生も、同様に大切な人生
まず重要なのは、「支援をとことん利用する」という意識を持つこと。
介護保険という保険制度を利用することで、多くの人が介護支援を受けられる制度があります。
これは、40歳になると、自動的に保険料を支払うようになるのです。
ですから、利用するのは、当然の権利といっていいでしょう。(59ページより)
また、粗大ゴミを自宅の前で回収してくれたり、交通機関の利用料金が安くなったりと、さまざまな自治体のサービスもある。ただしそれらは申請しないと利用できないので、忘れずに申請することが不可欠。情報収集は大切なのだ。