米豪に続きイギリスも。北京冬季五輪の「外交的ボイコット」相次ぐ
U.K. Joins U.S., Australia Boycott of Beijing Olympics, Still Sending Athletes to Compete
北京冬季五輪ボイコットを呼びかける活動家たち(6月、ジャカルタ) Ajeng Dinar Ulfiana-REUTERS
<豪首相は「最も国益に叶う」と発言、中国は2028年ロス五輪の報復ボイコットを示唆>
イギリス政府は8日、中国の人権問題を理由に来年2〜3月に開催予定の北京冬季五輪を「外交的ボイコット」すると発表した。選手団の派遣は認める。
北京冬季五輪を巡っては、少数民族に対する虐殺や人道に反する犯罪などの人権問題から、アメリカやオーストラリアなど外交的ボイコットを表明する国が相次いでいる。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は下院で、政府関係者を派遣しないいわゆる外交的ボイコットを行うと述べた。だが、選手の出場に影響が出るようなボイコットには反対の考えを示した。
「政府は中国に対してこうした問題を提起することに何のちゅうちょもない。私が最後に習近平(シー・チンピン)主席と話した時もそうだった」とジョンソンは述べた。
アメリカ政府は6日に外交的ボイコットを表明。ただし選手団は派遣するとした。
「(政府は)この瞬間のために練習を重ね準備してきた選手たちにペナルティーを科すことが正しい措置だとは思わないし、正式な代表団を送らないことで正しいメッセージが伝わるとも思っていない」とホワイトハウスのジェニファー・サキ報道官は述べた。
オーストラリア政府もアメリカと足並みをそろえ、外交的ボイコットを表明。スコット・モリソン首相はこれが最も国益に叶う「正しい対応」だと述べた。
「出場選手の成功に向けた支援は惜しまない」
中国外務省の汪文斌(ワン・ウエンビン)報道官はオーストラリアの決定を非難するとともに、「中国はいかなるオーストラリア政府関係者も冬季五輪に招待していない。彼らが来ようが来まいが誰も気にしない」と述べた。
オーストラリアの選手は、本人が望めば出場は認められる。
「オーストラリアの選手たちはこれまでの4年間、オリンピックの夢に向かって練習し競い合ってきた。われわれは全力を挙げて彼らの成功に力を貸す」と、オーストラリア・オリンピック委員会のマット・キャロルCEOは述べた。
北京冬季五輪の外交的ボイコットを表明したのはこれまでのところ、アメリカにリトアニア、ニュージーランド、スコットランド、オーストラリア、イギリスの6 カ国・地域。
「北京冬季五輪は事実上の外交的ボイコットをすることになるだろう」とジョンソン英首相は下院で述べた。「閣僚や政府高官が出席する予定もない」
中国の人権侵害に抗議するために外交的ボイコットを行うとしたホワイトハウスに対し、中国は「断固たる対抗措置」を取るとしている。中国共産党傘下の英字新聞チャイナデイリーのチャン・ウェイフアEU支局長は、「(高齢の)バイデン大統領が、2028年のロサンゼルス五輪を中国がボイコットするのを見るまで長生きできるだろうか」と辛辣なツイートを出した。